ロフトは決まった。じゃあ次は?ウェッジ選びは PW・AW・SW・LW のロフト構成を組んだ後、「バウンス角」と「グラインド」で詰まる人が圧倒的に多いはず。F グラインド、S グラインド、W グラインド…各社が独自の記号を使うので、メーカーをまたぐと一気に意味不明になります。
そこでこの記事では、主要6社(タイトリスト Vokey / キャロウェイ OPUS / ピン s159 / テーラーメイド MG4 / クリーブランド RTX / ミズノ T24)の グラインド体系を横並びにして「同じ意味の別名」マップを作ることを目的に、最後に自分のスイング・ターフ条件から選ぶ手順までまとめます。
バウンス角とは — 数字が大きいほど「跳ねる」
バウンス角は、ソール(クラブの底面)が地面に対して何度持ち上がっているかを示す数値です。リーディングエッジ(フェース下端)からソール後方への角度で測ります。
- ローバウンス(4〜8°) — ソールがほぼ水平。硬いターフ・タイトなライ・芝の薄いショートゲーム向き。ヘッドが地面に潜りすぎず、ボール際をクリーンに拾える反面、軟らかい地面ではダフリやすい
- ミッドバウンス(8〜12°) — 多くのプレーヤーの「無難な選択」。56°ウェッジで標準的に推奨されるレンジで、ターフを選ばず使える
- ハイバウンス(12〜14°) — ソールが大きく持ち上がっており、軟らかい芝・バンカー・湿ったターフで真価を発揮。フルショットとバンカーを兼用したい層に向く
ロフトとバウンスの関係も大事で、56°ウェッジなら 8〜12° が中央域、60°ウェッジでは 4〜10° のローバウンスが一般的。逆に 50°のギャップウェッジは 10〜12° が多くなります。詳しいロフト構成については ロフト角徹底解説 で解説しています。
グラインドとは — バウンス角だけでは決まらない「ソール削り」
グラインドは、ソールのどの部分を削って薄くしているかを示す概念です。同じ「56°・10° バウンス」でも、ヒール(手前側)を削ったソール、トウ(先端側)を削ったソール、トレーリングエッジ(後端)を削ったソールでは、フェースを開いたとき・バンカーで砂を取るときの挙動が全く違います。
ざっくり分類すると以下の4タイプ。
- フルソール(標準) — ソールがほぼ削られていない。安定した抜けが特徴で、フルショット主体の人向け
- トウ・ヒール削り — フェースを開閉して使いたい人向け。バンカーやロブショットで威力を発揮
- ハイバウンス系 — ソールが厚く、軟らかい地面に強い
- ローバウンス系(大削り) — ソールが薄く、硬い地面・タイトなライ専用
メーカー独自の名前が付いていて混乱しやすいですが、実はこの4タイプの組み合わせを 記号で呼んでいるだけです。
主要6社のグラインド「同義語マップ」
各社のグラインド記号を、上記4タイプにマッピングしたものがこちらです。
| ソール特性 | Vokey SM10 | Cleveland RTX 6 | PING s159 | TaylorMade MG4 | Mizuno T24 | Callaway OPUS |
|---|---|---|---|---|---|---|
| フルソール(標準) | F | MID | S | SB | S-TYPE / V-TYPE | S |
| トウ・ヒール削り | S / D / M | — | H | — | D-TYPE | C |
| ハイバウンス | K | FULL | B / W | HB | — | W |
| ローバウンス(大削り) | T | LOW / LOW+ | T | LB | C-TYPE / X-TYPE | T |
各社の文法を1社ずつ見ていきます。
タイトリスト Vokey SM10 — 6種で全用途をカバー
世界で最も使われているウェッジ。グラインドは F / S / M / D / K / T の6種で、Vokey SM10 公式の解説をベースに整理すると、
- F グラインド — 最も標準的なフルソール。フルショットでスクエアに打つ層向け
- S グラインド — トレーリングエッジを少し削った汎用型。ニュートラル〜やや硬いターフに合う
- M グラインド — Bob Vokey 自身が好むとされる多用途グラインド。フェースを開閉してグリーン周りで操作するスタイル向き
- D グラインド — ヒール・トウを削った高バウンス。多彩な打ち方に対応
- K グラインド — 最大バウンスでバンカー専用に近い設計。軟らかい砂・ラフで威力を発揮
- T グラインド — 最も狭いソール、ローバウンス。硬い地面・タイトライ専用
ロフトと grind の組み合わせ表は ライ角の基礎 でも触れた通り、ライ角 64° が標準で、SM10 は 46〜62° の範囲をカバーします。
キャロウェイ OPUS — 4グラインド体系
OPUS / OPUS SP / OPUS PLATINUM の現行3シリーズに共通するグラインドは S / W / C / T。
- S グラインド — 標準。様々なスイングスタイルに対応する汎用型
- W グラインド — ワイドソール。バンカー・軟らかい地面で高バウンスの効果が大きい
- C グラインド — トレーリングエッジを削った C 字型ソール。フェース開閉操作向き
- T グラインド — トレーリングを大きく削ってバウンスを抑えた、硬い地面・タイトライ用
スピンテクノロジー「17V Groove + SPIN POCKET」を全モデルに搭載しています。
ピン s159 — 6グラインドで最も細かい
国内勢の中でグラインドのバリエーションが最も多いのが PING s159。B / E / H / S / T / W の6種を持ち、しかもそれぞれにバウンス角の標準値が割り当てられているのが特徴です。
- B グラインド — 8° バウンス、大きいソール(Bounce Sole)。拾いやすく安定
- H グラインド — 8° バウンス、操作性とサポートのバランス型
- S グラインド — 10° バウンス、汎用。ヒール・トレーリング削り
- T グラインド — 6° バウンス、最小バウンス、硬い地面用
- W グラインド — 14° バウンス、最大。バンカー・軟らかい地面で威力
- E グラインド — Eye2 系から継承された Special grind(公式の詳細解説は限定的)
PING のサイトで s159 を見ると、シリーズ内で 6° 〜 14° のバウンス幅をカバーしているのがよくわかります。
テーラーメイド Milled Grind 4 — 3グラインドのシンプル設計
MG4 は思い切ってシンプル化されており、SB / HB / LB の3種のみ。
- SB(Standard Bounce) — 9〜11° の標準バウンス、46〜56° に対応
- HB(High Bounce) — 12° のハイバウンス、54〜60° に対応。軟らかい芝向き
- LB(Low Bounce) — 8° のローバウンス、56〜60° に対応。硬い地面向き
選ぶ側の意思決定が「ロフトを決めたら HB か LB か」の2択になるよう絞り込まれている。初めてグラインドを選ぶ人にやさしい設計です。
クリーブランド RTX 6 ZIPCORE — フルソールから大削りまで4段階
RTX 6 ZIPCORE と FULL-FACE 2 を含むクリーブランドの現行シリーズは FULL / MID / LOW / LOW+ の4グラインド。
- FULL — 12° バウンス。ラフ・バンカー・急なスイング向き
- MID — 10° バウンス、V 字ソールで標準的な選択肢
- LOW — 6° バウンス、C 字ソールで浅いアプローチに合う
- LOW+ — LOW の拡張版。54〜56° のプロ要望仕様
ZIPCORE 構造(重心を低く・後方に配する内部設計)は変わらず、外面のソール削りで打感と抜けを変える方式です。
ミズノ T24 — 5グラインドで「操作性」を細かく刻む
ミズノの T24 は S-TYPE / D-TYPE / V-TYPE / C-TYPE / X-TYPE の5種。
- S-TYPE — フルショット対応、トレーリング削り、バウンス保持
- D-TYPE — トウ・ヒール削り、バウンス保持。操作性とサポートを両立
- V-TYPE — ツアープロ設計、幅広いショットでの抜けを優先
- C-TYPE — トウ・ヒール削り、バウンス最小。フェース開きで使う上級者向き
- X-TYPE — 最も激しい削り、最狭ソール。自在な操作性(上級者専用)
軟鉄鍛造(マイルドスチール S25C / 1025 BORON)の打感を持つ国内勢の代表モデル。詳しいクラブ部位の用語も併せて確認すると理解が早まります。
自分に合うバウンス・グラインドの選び方
最後に、3つの観点でフローを示します。
① 普段プレーするコースのターフ硬度
- 硬い/タイトなライが多い → ローバウンス(4〜8°)+ トウヒール削り(Vokey T、PING T、Cleveland LOW、MG4 LB)
- 標準的なターフ → ミッドバウンス(8〜12°)+ フルソール(Vokey F、PING S、Cleveland MID、MG4 SB、OPUS S)
- 軟らかい/湿ったターフが多い → ハイバウンス(12〜14°)+ ワイドソール(Vokey K、PING W、Cleveland FULL、MG4 HB、OPUS W)
② スイングタイプ
- ダウンブロー強め(ディボットを深く取る)→ ハイバウンス推奨。地面に潜りすぎを防ぐ
- スイーパー(払い打ち)→ ローバウンス推奨。バウンスが強いと弾かれやすい
- 中間 → ミッドバウンスで OK
③ バンカーとアプローチを兼用するか
- 兼用したい(1本で済ませたい)→ ハイバウンス+ワイドソール
- 専用機を持ちたい(バンカー専用 + アプローチ専用)→ K/W で SW、T/C で LW のように分ける
② と ③ の組み合わせで シャフトのフレックス や キックポイント も合わせて見ると、フィッティング全体の整合が取りやすくなります。ウェッジは比較的軽量シャフト(120g 前後の S200 系)が多いですが、アイアンと同調させたいなら同じシャフト系列で揃えるのがセオリーです。
まとめ — 「バウンス+グラインド」は4軸で読み解ける
各社の記号は違っても、結局のところ「フルソール / トウヒール削り / ハイバウンス / ローバウンス」の4軸の組み合わせ。Vokey の F / S / M / D / K / T も、PING の B / E / H / S / T / W も、MG4 の SB / HB / LB も、この4軸のどこに位置するかさえ把握すれば、メーカーをまたいだ比較が一気に楽になります。
主要6社の現行ウェッジは、ゴルフスケール内で ウェッジ一覧 から絞り込み検索ができます。気になるモデルが見つかったら、ロフト・バウンス・グラインドの組み合わせを照合してみてください。次の買い替えで、もう「F グラインドって何だっけ」と迷うことはなくなるはずです。
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