Yes! Golf(イエスゴルフ)は、1996年に英国SouthportのパッティングコーチHarold Swashの設計を起点として立ち上がったパター専業ブランドです。運営法人は米国コロラド州デンバーのProgear Holdingsで、フェースに同心円状の溝(C-Groove)を切ることで「ボールがフェースに乗った瞬間に順回転を促す」という独自構造を看板技術として展開しました。
2001年の全米オープンでRetief GoosenがTracyモデルを使って優勝したことで世界的に認知され、その後もPadraig Harrington、Sergio García、宮里美香などツアー使用者を多数抱えました。2007年の売上は約1,020万ドル、2010年は約240万ドルと推移したのち、2011年1月18日の米連邦破産裁判所オークションでAdams Golfが150万ドル(合計取得コスト165万ドル)でC-Groove特許・商標・在庫・設備を取得し、テキサス州PlanoのAdams Golf運営下に統合されました。
Adams Golf自体が2012年にTaylorMade-adidas Golfに買収され、その後Yes! Golfブランドの新製品リリースは事実上停止しています。現在yesgolf.comドメインは閉鎖状態で、新品流通はなく中古市場での取引が中心です。
代表ラインはTracy系のブレード(カビティバック型)とSandy/Sara/Bella/Sophia/Callieなどの女性名を冠したシリーズで、ほぼ全モデルに共通してC-Grooveフェース(同心円の溝を20°上向きに切削)とダブルベンドシャフトの組み合わせを採用していました。素材はヘッド本体に304ステンレス(あるいはPVD仕上げの304)が中心、Olivia-MBのような派生では鍛造マンガンブロンズも採られています。
標準長は33〜35インチが主流で、Mid(38〜46インチのベリー)とLong(46〜52インチ)のバリエーションを揃えるシリーズもありました。価格帯は当時の北米定価で200〜300ドル帯で、メジャー実績を背景にしたパター専業としては中堅ポジション。Adams Golf統合期(2012-2014)にはTracy-12/Sara-12/Sandy-12など「-12」サフィックス世代へ刷新されています。
2000年代後半のパター専業としてScotty Cameron(Anser系の高級ミルド)やOdyssey(インサートの白い2-Ball)と並び立つ三番手として認知されていたブランドです。C-Grooveは「素材インサートで打音を変える」Odyssey系とも、「無垢ミルドでフィードバックを返す」Scotty Cameron系とも異なる「フェース自体に切削した同心溝で順回転を促す」というアプローチで、独自路線を取りました。