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2019年8月4日、イングランドのウォーバーンゴルフクラブ。最終ホールで約5メートルのバーディ・パットを沈めた瞬間、渋野日向子はこぼれるような笑顔を見せました。初めての海外試合が、いきなりメジャー制覇 ― 1977年の樋口久子以来 42年ぶり、日本人女子として2人目の海外メジャー優勝でした。ラウンド中に笑顔を絶やさず、ギャラリーとハイタッチを交わすその姿は 「スマイリング・シンデレラ (Smiling Cinderella)」 として世界中に知れ渡りました。岡山のソフトボール少女が世界の頂点に立ち、その後は栄光と重圧、そして米ツアーでの苦闘を経て歩み続ける ― 渋野日向子の物語を辿ります。
| 年 | 出来事 |
|---|---|
| 1998 | 11月15日、岡山県岡山市生まれ。父は元砲丸投げ、母は元やり投げの選手 |
| 小学生 | 2年生でゴルフとソフトボールを始める。ソフトボールでは投手 |
| 2011 | 岡山県ジュニア (中学生女子の部) 優勝を機にゴルフへ専念 |
| 2014 | 作陽高校進学。中国女子アマチュア選手権優勝 |
| 2015 | 全国高校選手権 団体優勝 (チームの一員として) |
| 2017 | LPGA最終プロテストに失敗 |
| 2018 | 6月アース・モンダミンカップでホールインワン (賞金600万円)。7月にプロテスト合格、プロ転向 |
| 2019 | 5月ワールドレディス サロンパスカップ (国内メジャー) でツアー初優勝 |
| 2019 | 7月資生堂アネッサレディスオープン優勝 (プレーオフ) |
| 2019 | 8月AIG全英女子オープン優勝 ― 初の海外試合でメジャー制覇。樋口久子以来42年ぶり、日本人女子2人目 |
| 2019 | 9月デサントレディース東海クラシック、11月大王製紙エリエールレディス優勝。JLPGA最優秀選手賞 (年間女王) |
| 2021 | 国内2勝 (スタンレーレディス、三菱電機・樋口久子レディス)。米ツアーQシリーズ突破で2022年シードを獲得 |
| 2022 | LPGAツアー本格参戦。全英女子オープン3位、全米女子オープン予選落ちなど好不調が交錯 (賞金ランク27位) |
| 2023 | 米ツアーで苦しみ賞金ランク87位とスランプに |
| 2024 | 全米女子オープン2位。賞金ランク14位と復調 |
| 2025 | 米ツアーで再び苦戦 (賞金ランク67位)。日米を行き来しながら戦う |
プロテスト失敗からわずか1年あまりで世界メジャーを制した急上昇ぶりは、ゴルフ史でも稀なシンデレラストーリーでした (Wikipedia / JLPGA公式)。
2019年8月、渋野日向子はキャリアで 初めて海外の試合に出場しました。舞台はイングランドのウォーバーンゴルフクラブ (6,756ヤード/パー72)。日本によく似た起伏のある林間コースでした。
2打差の単独首位で迎えた最終日、渋野は緊張を感じさせない自然体のプレーを続けます。7バーディ・1ボギー・1ダブルボギーの68で回り、迎えた18番。約5メートルのバーディ・パットを沈めて通算18アンダー、2位のリゼット・サラスに1打差での優勝を決めました (JLPGA公式)。4日間のスコアは66-69-67-68=270 (Wikipedia)。
これは1977年の全米女子プロで優勝した樋口久子以来、42年ぶり、日本人女子として2人目の海外メジャー制覇でした。しかも初出場・初の海外試合での優勝という快挙です。当時のLPGA会長・小林浩美は「ついにやりました。日本のLPGAツアーからいきなりメジャー優勝です」、顧問の樋口久子は「無欲が手繰り寄せた勝利。予選通過だけを目標に、日本で戦っているように伸び伸びとプレーしていた」とコメントを寄せました (JLPGA公式)。
ラウンド中、ギャラリーと笑顔でハイタッチを交わし、最後まで楽しそうにプレーする姿は世界中の心をつかみ、「スマイリング・シンデレラ」という愛称が定着しました (Golf Channel)。
| 項目 | 数字 |
|---|---|
| 海外メジャー優勝 | 1勝 (2019 AIG全英女子オープン) |
| JLPGAツアー通算優勝 | 6勝 (うち国内メジャー1勝) |
| LPGAツアー優勝 | 1勝 (= 2019全英女子、欧州女子ツアーとの共催) |
| 日本人女子の海外メジャー優勝 | 史上2人目 (樋口久子に次ぐ・42年ぶり) |
| JLPGA年間最優秀選手賞 | 1回 (2019) |
| 世界ランキング最高位 | 11位 (2019年末) |
| プロ転向 | 2018年7月 (19歳) |
| 全米女子オープン最高成績 | 2位 (2024) |
2018年末に563位だった世界ランキングは、全英女子制覇のあった2019年末には 11位まで急上昇しました (Rolex Rankings)。プロ転向からメジャー制覇までの速さは、まさに「シンデレラ」と呼ぶにふさわしいものでした。
渋野日向子の最大の武器は、プレッシャーのかかる場面でも消えない笑顔です。全英女子の優勝争いの最中でもギャラリーにハイタッチを求め、楽しそうにプレーする姿は、勝負の世界では異質なほどでした。この天真爛漫さが「スマイリング・シンデレラ」という愛称を生み、海外メディアからも愛されました。
もう一つ世界を驚かせたのが、ラウンド中の 駄菓子です。お気に入りの珍味スナック「タラタラしてんじゃね〜よ」を試合中に口にする習慣が報じられ、優勝後には品薄になるほどの話題を呼びました。
岡山県出身。父は砲丸投げ、母はやり投げという陸上競技の家系に育ち、本人も小学生時代からソフトボールの投手として鳴らしました。ソフトボールで培った下半身を使ったスイングと、勝負強いパッティングが持ち味です。「シブコ」の愛称は、もともと地元での呼び名が広まったものとされています (Wikipedia)。
全英女子制覇で世界的スターとなった渋野は、より高いレベルを求めて米国LPGAツアーへ挑みます。2021年末のQシリーズ (最終予選会) を突破し、2022年からLPGAツアーに本格参戦しました (Wikipedia)。
しかし世界最高峰の戦いは平坦ではありませんでした。2022年は全英女子オープン3位など5度のトップ10で賞金ランク27位と健闘した一方、2023年は予選落ちが続き賞金ランク87位までと低迷。期待と現実のギャップに苦しむ時期が続きました。
それでも諦めずに戦い続け、2024年には全米女子オープンで2位に入る大躍進を見せ、賞金ランク14位まで復調します。日米のツアーを行き来しながら戦うスタイルは移動とコンディション管理の負担が大きく、好不調の波と向き合い続けることになりますが、「ここ (米ツアー) で戦っている意味を失くさないように」と語り、世界の舞台で勝つことを諦めていません。
渋野日向子の登場は、日本女子ゴルフ界に大きな波をもたらしました。「楽しんで世界で勝つ」という新しいスタイルは、その後の「黄金世代」「プラチナ世代」と呼ばれる若手たちに、海外メジャーは決して遠い夢ではないという確信を与えました。
2019年の彼女の全英女子制覇以降、笹生優花 (2021・2024全米女子オープン)、古江彩佳 (2024エビアン選手権)、そして2025年には山下美夢有が全英女子オープンを制すなど、日本人女子のメジャー優勝が続きます。渋野が切り拓いた「初の海外でも臆せず勝てる」という道は、後輩たちの背中を押し続けています。実際、2025年に全英女子を制した山下に対し、2019年覇者の渋野はSNSで祝福を送り、世代を超えたバトンが受け継がれている様子がうかがえます。
メディアによる急激なスター化と、その後のスランプという厳しい現実の両方を経験しながらも、笑顔を失わずに世界で戦い続ける姿そのものが、若手選手にとってのロールモデルになっています。
2019年AIG全英女子オープンで、初の海外試合ながら笑顔を絶やさずギャラリーとハイタッチを交わしてプレーし、そのまま優勝したことから海外メディアが「Smiling Cinderella (スマイリング・シンデレラ)」と名付けました。プロ転向からわずか1年あまりでメジャーを制した急上昇ぶりも「シンデレラ」と呼ばれる理由です。
1977年の全米女子プロを制した樋口久子以来、日本人女子として2人目、42年ぶりの海外メジャー制覇でした。しかも初めての海外試合での優勝という稀有な快挙です。
2021年末の予選会を突破し2022年から本格参戦しました。2022年は賞金ランク27位、2024年には全米女子オープン2位で賞金ランク14位と復調する一方、2023年や2025年は苦戦するなど、好不調の波と向き合いながら戦い続けています。
珍味スナックの「タラタラしてんじゃね〜よ」です。全英女子オープンの活躍で世界的に注目され、優勝後には品薄になるほど話題になりました。
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最終更新: 2026-06-04