キュアパター(Cure Putters)は2013年、引退した建築家スティーブ・デイビス(Steve Davis)とPGAプロフェッショナルのジェフ・ライアン(Jeff Ryan)が共同で立ち上げたアメリカのパター専業ブランドです。本社・拠点はフロリダ州フラグラービーチにあり、創業以来「Form Follows Function(形は機能に従う)」を設計指針として、航空機グレードのアルミニウム削り出しによる超高MOI(慣性モーメント)ヘッドを全モデルに採用しています。
2013年に初代プロトタイプRX1を完成させ、PGAツアー元コミッショナーDeane Bemanに披露して「これまでで最も技術的に進んだパターだ」と評価されたことをきっかけにブランド化。2014年のPGAマーチャンダイズショー(オーランド)でRX1/RX2を正式発表し、同年6月には旧Rife Puttersの共同創業者ジム・バーフィールド(Jim Barfield)がVP of Professional Toursとして参画しました。2015年にはRX1 Tour/RX2 Tour/センターシャフトRX1/RX2とRX3の5モデルを追加投入、2016年にはクラシックブレード形状のClassic Series CX1/CX2、およびRX3リニューアルとRX4/RX5/RX6を発表、2017年にはCX3マレットとCX4マレットを追加、2018年にはTour X SeriesとHybrid X Seriesをローンチして現行の3シリーズ体制(RX/Classic/Tour X)に至っています。
2017年にはPGAツアー・チャンピオンズのBoeing ClassicおよびPacific Links Bear Mountain Championshipでジェリー・ケリー選手がCX1で2勝を挙げ、同年のチャンピオンズツアー新人王(Rookie of the Year)に選出されるなど、ツアー実績でブランド認知を広げてきた経緯があります。日本国内では株式会社ゴルフライブが正規総代理店として販売を担当しています。
現行のラインナップは3シリーズ構成で、最大級の超高MOIを狙う RX Series(RX3/RX4/RX5)、伝統的なブレード/ミッドマレット形状にタングステンウェイトを仕込んでMOIを稼ぐ Classic Series(CX1/CX2/CX3)、ツアー選手のフィードバックを反映したマルチメタル設計の Tour X Series(TX1/TX2/TX3)の3軸に分かれます。すべてアメリカ国内で航空機グレードのアルミニウム(T-6061)から削り出され、公式は「ステンレスより柔らかく、ソフトインサートよりはしっかりした打感」と説明しています。
ブランド固有の核となる機構は3つで、(1) 専用の回転式シャフトディスクによる ライ角調整(RXシリーズのみ、62°〜80°の範囲)、(2) ヒール/トウのウェイトを組み替える ウェイト調整システム(RXは200g以上、Classicは42〜48g、Tour Xは36〜60gの調整幅)、(3) 標準長/中尺/ベリー(長尺)に対応する シャフト交換機構 です。これにより身長・利き手・ストロークタイプを問わず、1機種で広範なフィッティングをカバーできる構造になっています。
米国公式(cureputters.com)の価格はRXシリーズ $299.95、Tour Xシリーズ $349.95、Classicシリーズ $199.95〜$279.95。日本国内では総代理店・株式会社ゴルフライブの公式サイト(cureputters.jp)が窓口で、2026年8月時点で現行として案内されているのは RX5J(¥49,280・税込)とTX3(¥54,780・税込)の2機種のみ、CX1J/RX1/RX2/RX3J/RX4Jはいずれも「販売終了」と明記されています。スコッティ・キャメロンやL.A.B.のプレミアム帯より一段抑えた価格で、調整機構と超高MOIを主軸に選びたいゴルファー向けのポジションです。
日本国内での入手性には注意が必要で、総代理店は2022年9月の告知で「新モデル等の入荷目処は立っていない」としており、公式サイトの新着情報も2023年4月で更新が止まっています。新品での購入を考える場合は在庫状況の確認が前提になります。ツアー実績としては、2017年にPGAツアー・チャンピオンズでジェリー・ケリー選手がCX1を使用してBoeing ClassicとPacific Links Bear Mountain Championshipで2勝を挙げ、同年のルーキー・オブ・ザ・イヤーに選出されています。
L.A.B. がLie Angle Balance、イーブンロールがSweetFace Technology、SeeMoreがRifleScope Technologyと、それぞれ異なる現代パター系の補正アプローチを採るのに対し、キュアパターは「航空機グレード・アルミ削り出しによる超高MOI+ ライ角/ウェイト/シャフト長の3軸調整機構」というハードウェア面での解決を主軸にしているのが特徴です。フェース面の補正やヘッドバランス補正ではなく、構造設計と調整自由度で対応するという思想の違いがあります。
スコッティ・キャメロン(Acushnet傘下)とベティナルディがいずれもステンレスや軟鉄削り出しの工房系プレミアムとして打感と所有感を強く打ち出すのに対し、キュアパターは航空機グレード・アルミニウムの削り出しによる軽量・高MOI化を主眼に据えています。価格帯は両者の上位帯(実売10〜25万円)よりも一段抑え目で、調整自由度とMOIを機能面で選びたいゴルファー向けの選択肢として位置付けられます。
ピレッティ・クロノス・ゲージデザインがいずれも軟鉄/ステンレスの削り出し精度とアルチザン感を売りにする工房系であるのに対し、キュアパターはアルミニウム削り出し+多軸調整機構を看板に据える機能特化型のブランドで、性格がはっきり異なります。打感の質感や仕上げよりも、調整機構とMOIを重視するゴルファーが対象です。