ピレッティ(Piretti)は2008年、創業者マイク・ジョンソン(Mike Johnson)がアメリカ・テキサス州で立ち上げた削り出しパター専業ブランドです。「Piretti」はイタリア語由来のブランドネームですが、製造拠点はあくまで米国テキサス州で、創業以来100% Made in USAの削り出しパターという軸を一貫して維持しています。
ブランドの転機となったのは2013年、ヘンリク・ステンソンがCottonwood IIベースのカスタムパターを使用してPGAツアー チャンピオンシップでFedEx Cupを制覇、同年にRace to Dubaiでもタイトルを獲得し「同年にFedEx CupとRace to Dubaiを制した最初のパターメーカー」としてプレスリリースを打ち出した出来事です。これにより独立系の小規模ブランドながらツアーシーンでの認知が確立され、以後アルチザン系プレミアムパターの定番候補として位置付けられるようになりました。
設計思想は「クラシックなアンサー型/マレット型のフォルムを保ちつつ、削り出し精度とフェースミーリングで現代的な転がりを得る」方向性です。本社・販売はテキサスを拠点とする小規模体制を維持しており、量販販路には乗らずに公式オンラインストアと専門認定店経由でカスタム注文を受ける運営方針が継続されています。
現行のラインナップはCottonwood II(フランジ広めのアンサー型ブレード、ブランドの代表作)、Cottonwood II Elite Series、Tesora 2 CU(303ステンレス+銅ミルドフェース、可変ウェイトポート対応)、Firenze、Mantis、Potenzaなどのモデルで構成されています。各モデルとも303ステンレスのワンピース削り出しが基本で、ヘッドウェイトが355g / 365g / 375gといったオプションで指定できる構成が特徴です。
価格帯はCottonwood II系で実売8〜15万円、Elite SeriesやTesora 2 CU系のプレミアム素材モデルで15〜25万円が中心です。スコッティ・キャメロンNewport系(実売7〜15万円)と同等〜やや上の帯で、ベティナルディBB系・クロノス系・ゲージデザイン系と並ぶ「米国アルチザン系プレミアム」のレンジに位置します。
販売チャネルは公式オンラインストアおよび世界各国の認定店経由でのカスタムオーダーが中心で、量販ルートでの取り扱いは限定的です。ヘンリク・ステンソン使用モデルの限定リリースなど、ツアーストックを起点にした少量生産モデルの展開もブランドの個性となっています。
ベティナルディがイリノイ工房系プレミアム、スコッティ・キャメロンがAcushnet傘下のフラッグシップという位置付けに対し、ピレッティはテキサス拠点の独立アルチザン系として中規模カスタムオーダー体制を取るブランドです。スコッティ・キャメロンほどの量産・流通網はないものの、ヘンリク・ステンソンが2013年にFedEx CupとRace to Dubaiを同年制覇した実績がブランドのバックボーンを支えています。
クロノス・ゲージデザインともにアルチザン系プレミアムというカテゴリーは共通しますが、ピレッティはCottonwood IIというブランド単一の代表作が長年継承されている点が特徴です。クロノスがTouch / Mythosの番手別構成、ゲージデザインがデザイナー作家性に寄せたコンセプチュアルなライン展開を取るのに対し、ピレッティは「Cottonwood IIの世代継承+派生」という長寿モデル戦略を取ります。
ゼロトルクやSweetFace、Lie Angle Balanceなどの「機能テクノロジー」を全面に出す現代パター系(L.A.B.・イーブンロール・Edel・SeeMore)に対し、ピレッティは「クラシック形状+削り出し精度+ヘッドウェイトオプション」というオーソドックスな軸でプレミアム帯を狙うブランドです。技術スペックよりも「アンサー系の伝統美」を求めるゴルファー向けの選択肢です。