イーブンロール(Evnroll)は2016年、創業者ゲリン・ライフ(Guerin Rife)がアメリカ・カリフォルニア州カールスバッドで立ち上げたパター専業ブランドです。創業者のライフはRife Putters(旧ブランド)時代から30年以上にわたってパター設計に携わってきた人物で、2013年にSweetFace Technologyの特許を取得した後、これを中核技術として独立する形でEvnrollを創業しました。
ブランドの中核技術であるSweetFace Technologyは、フェース面のミーリング溝の幅とパターンを位置ごとに変えることで、打点が多少ブレても転がる距離が一定に近づくよう設計したフェース処理です。MyGolfSpyのMost Wanted Blade Putterで2020・2024年など複数年で受賞しており、性能面の評価が安定しているのが特徴です。
2023年4月には韓国のゴルフシミュレーター企業Uneekorの親会社Creatz, Inc. がEvnrollの過半数株式(70%)を取得し、創業者ライフは30%の株式を保有しつつCEO兼チーフデザイナーとして引き続き経営とデザインを統括しています。本社・製造はカリフォルニア州カールスバッドに残り、引き続き100% 米国製ミルドパターのコンセプトを維持しています。
現行のラインナップはERシリーズ(ER1 / ER2 / ER5 / ER7など番号で形状とヘッドタイプを区別)、Origin(SweetFace 2.0採用の最新ライン)、Zero(ゼロトルク設計の新世代モデル)の3軸構成です。番号はER1〜ER2系がアンサー型ブレード、ER5がミッドマレット、ER7がフルマレットというように形状で並ぶ構成で、すべて303ステンレスもしくは6061アルミの削り出し製造を採用しています。
価格帯はERシリーズで実売6〜10万円、Origin / Zeroなど最新世代モデルで10〜15万円が中心です。ベティナルディやスコッティ・キャメロンの上位帯(実売10〜25万円)と比べるとミドル〜プレミアム帯のレンジに収まり、削り出しパターの中では「技術リッチで価格が抑え目」のポジションを取っています。
契約プロはPGAツアー上位常連クラスの専属看板選手は限定的ですが、ツアーでの試打導入率は地道に伸びており、特にミスヒットへの強さを売りにしているためアマチュア層・フィッターからの支持が厚いブランドです。MyGolfSpyなどの独立計測メディアで連続受賞している実績がブランド評価を押し上げています。
スコッティ・キャメロンがAcushnet傘下のフラッグシップ、ベティナルディがイリノイの工房系プレミアムという位置付けに対し、イーブンロールは「SweetFace Technologyによるミスヒット耐性」という機能面の独自性で差別化するブランドです。価格帯はスコッティ・キャメロンのNewport系(実売7〜15万円)と同等〜やや下、ベティナルディのBB系(実売10〜20万円)よりも下に設定されることが多く、機能性能とコストパフォーマンスを軸に選ぶゴルファー向けの選択肢です。
L.A.B. がLie Angle Balance、EdelがTorque Balanced、EvnrollがSweetFace Technologyと、いずれも「ストロークやフェース打点のブレに対する補正」を訴求する現代パター系として並び称されます。L.A.B. はフェース回転を発生させない独特のヘッド形状、Edelはバランス設計でフェース回転を抑制、Evnrollはフェース面の溝設計で出球初速を均す、と補正アプローチの方向性がそれぞれ異なります。
SeeMoreがアライメント支援(RifleScope Technology)を主軸にした「構えやすさ」のブランドであるのに対し、Evnrollはインパクトでの「許容性」を主軸にしている設計思想の違いがあります。両者とも独立系の米国製パターメーカーとしてカテゴリーが近く、好みで選び分けるのが基本です。