KBSは2008年、米国カリフォルニア州ハンティントンビーチで キム・ブレイリー が立ち上げたスチールシャフトブランドです。キム・ブレイリー はそれ以前にトゥルーテンパーでProject XやRifle系シャフトの設計を主導した人物で、その経験を背景に「ツアーシャフトを設計者の名前で独立ブランド化する」という発想でKBS(キム・ブレイリーSignature)を立ち上げた経緯があります。母体は米国のFST(Fairway Sports Technology)社で、KBSはそのゴルフシャフトブランドとして展開されています。
中核ラインはKBS Tourシリーズ(2008年登場)で、KBS Tour 90 / 105 / 120の重量帯展開と、Tour-V(先端部にバルジを設けた挙動安定モデル)、Tour C-Taper(テーパーを抑えた低スピン仕様)の派生で構成されています。トゥルーテンパーDynamic Goldとは異なるフィーリング・低スピン傾向を売りにし、PGA Tourで支給ベースの普及を進めて急速にシェアを伸ばしました。2010年代後半からはTGI(Tour Graphite Iron)でアイアン用カーボン分野にも展開しており、PXG / テーラーメイド などの新興・大手のオプションシャフトとしても採用されています。
ラインアップはKBS Tour系(90 / 105 / 120の重量帯と、Tour-V / Tour C-Taperの派生モデル)、S-TAPER系(段差設計を持つフィーリング派モデル)、TGI系(アイアン用カーボン)、Hi-Rev系(ウェッジ専用)の4本柱。specialtyはiron_shaftが中心で、ツアー支給比率の高さがブランドの代名詞です。
設計の核はKBS Tourシリーズの低スピン特性と独特のステップ設計で、Dynamic Goldと比較して「打ち出しが少し高めで、スピンが抑えめ」と評価されることが多いシリーズ。Tour-V(Verticalの頭文字)はティップ部の挙動を安定させるバルジ構造で、フェードヒッター・低弾道狙いに支持されます。Tour C-Taperは通常のテーパー(先端細り)を抑えた等径に近い設計で、フィーリングを変えながら同じ重量帯で展開します。S-TAPERは段差設計でフィーリングのバリエーションを作る別ラインで、フィッティング店でツアー上級者向けに提案されることが多いライン。
ツアー支給比率は突出しており、PGA Tourのスチール使用者でトゥルーテンパーDynamic Goldの次に多いシェアをKBSが占めるのが現状。PXG(PXG GEN6 / 0211シリーズ)の純正・オプションスチールにKBS Tourが並ぶほか、テーラーメイド(P・Stealth UDI等のオプション)でも採用されています。「ツアーで実績があるアフターカスタムスチール」という認知が確立しているシャフトです。
KBSのシャフトを純正搭載しているクラブメーカー。
ゴルフスケールに登録された全112本のシャフトから、KBSのつかまり・弾道の高さ・重量・トルク・調子を市場全体と比較しています。リシャフトや純正シャフトの素性確認に、いま使っているシャフトの近くを探す手がかりとして。
市場全カーボンシャフトの中で、KBSの各シリーズがどこに位置するか(点 = シリーズの平均、灰点 = 市場全体)
KBSは市場標準的な価格帯
メーカー希望小売価格(税込)。高いほどカスタム・プレミアム志向
KBSは元調子が最多(ラインナップの 43%)
先調子ほどボールが上がりやすく、元調子ほど手元でタメをつくる設計。シリーズ 46 本の構成比を市場全体と比較
KBSは市場よりやや重量寄り
軽いほど振りやすく、重いほど球が安定する
KBSは市場よりやや低トルク寄り
値が小さいほど手元剛性重視、大きいほど捻り戻りを使う設計
KBSのシャフトを発売年順に並べた年表。歴代モデルから廃番モデルまで横断比較できます。
同じ米国スチールでも、トゥルーテンパーDynamic Goldが量販ブランドのアイアン純正の中心(製品起点の認知)であるのに対し、KBS Tourはツアー支給比率の高さ(プロ起点の認知)が強み。価格帯はどちらも実売1万円台〜2万円台で大差ありませんが、純正シャフトとして組み込まれる頻度ではトゥルーテンパーが上、アフターカスタムやリシャフト用途で名前を見る頻度ではKBSが伍する、というのが市場の感覚です。フィーリングはKBS Tourのほうがやや打ち出しが高めで低スピン、Dynamic Goldは素直な弾道とフィーリングの教科書、と評価されることが多く、フィッティング店で打ち比べると違いがはっきり出ます。
日本シャフトMODUS3とKBS Tourは同じ100g〜130g台のツアー仕様重量帯で、フィーリングと国内純正での採用ブランドの違いで選ばれます。MODUS3は ミズノ / スリクソン / ブリヂストン など国内ブランドの純正で並ぶのが標準で、KBS TourはPXGや テーラーメイド など米国ブランドのオプションでの採用が中心。「国内ブランド純正で並ぶのはMODUS3」「米国ブランドのオプション・ツアー支給で目にするのはKBS」と覚えると整理しやすく、フィーリング差はMODUS3が粘る系、KBSが走る系と表現されることが多いです。
アイアン用カーボン(KBS TGI / 三菱MMT / フジクラPro 95iなど)は、軽量化や振り抜きやすさを求めるゴルファー、フルカーボン構成のフルセット組み付け需要を中心に少しずつ採用が拡大しています。KBSはTGIでこの分野にも手を広げており、スチール一辺倒ではない多角化が進んでいる点で、トゥルーテンパーDynamic Gold(スチール一本柱)より柔軟なポートフォリオです。ただし純正アイアンのスチール枠の中心は依然DG / N.S.PRO / MODUS3で、KBSは「ツアー支給とアフターカスタムで強いブランド」という独自ポジションを保っています。