ゴルフ場でプレーした人の推計は、1990年代半ばのピークからおよそ3分の1になりました。その一方で、コロナ禍以降は「若者が増えた」「女性が増えた」という報道が続いています。 総数が減りながら特定の層だけが増えることは、矛盾しません。ただし「増えた」が指しているのが実施率なのか、推計人数なのか、構成比なのかで結論は変わります。 このページでは、属性別のデータを公表している調査を突き合わせ、年齢構成と性別構成に何が起きたのかを、母数の縮小と分けて確認します。
ゴルフ場でプレーした人の推計は、ピークだった1994年から2024年までにおよそ3分の1になりました(推移は下の表のとおり)。総務省の社会生活基本調査でも、ゴルフ(練習場を含む)の行動者率は2016年の7.9%から2021年の6.9%へ下がっており、減少という方向は調査をまたいで一致しています。
一方で「若者ゴルフブーム」「女性ゴルファーが増えた」という記事は、コロナ禍以降くり返し出ています。この2つは矛盾しません。総数が減るなかでも、ある層だけが増えることはあり得るからです。
問題は「増えた」が何を指しているかです。属性の変化は、次の3つを分けないと読み違えます。
| 見る指標 | 意味 | 落とし穴 |
|---|---|---|
| 実施率 | その層の何%がゴルフをしたか | 層そのものの人数が減っていても上がる |
| 推計人数 | 実際に何人か | 実施率が横ばいでも人口減で減る |
| 構成比 | ゴルフ人口に占めるシェア | 他の層が減るだけで上がる |
以下では、属性別のデータを公表している調査を突き合わせ、この3つを分けて確認します。
定義: 『レジャー白書』(公益財団法人 日本生産性本部 余暇創研/旧・(財)社会経済生産性本部・(財)自由時間デザイン協会・余暇開発センター)が推計する「ゴルフ(コース)」の参加人口。1年間に1回以上ゴルフ場でプレーした人の推計数(参加率×調査対象人口)で、単位は万人。ゴルフ場の延べ利用者数(経済産業省 特定サービス産業動態統計などの入場者数)とは別物で、こちらは「のべ回数」ではなく「人数」の推計。練習場だけを利用した人は含まない(練習場は別系列 golf_practice_population_jp)。year は白書の発行年ではなく調査対象年。
注: 白書の年版と対象年は1年ずれる(『レジャー白書N年版』=対象年N-1年。調査はN年の1〜3月に実施)。本系列の year は対象年。
注: 参加人口は「参加率×調査対象人口」で推計される。近年の調査対象は全国15〜79歳の男女、有効回収数は年により3,200〜3,700人程度で変動し、ゴルフの有効サンプルは200人前後と小さい。年ごとの振れが大きい点に注意(例: 対象年2015→2016でコース人口が760→550万人と27%減)。
注: 2008年(対象年)からインターネット調査。日本生産性本部『レジャー白書2011』巻頭図表の注記は「平成21年よりインターネット調査に移行」(=2009年調査=対象年2008年)としており、対象年2007年以前との単純比較はできない(break_years に記録)。
注: 対象年2007年以前は「全国の都市部(人口5万人以上)に住む15歳以上の男女3,000人」を対象とした従来型アンケート(週刊ゴルフダイジェストの各年報道による)。
注: 2008〜2015年および2017年の値は、ゴルフ市場活性化委員会(GMAC)『Japan Golf Market Annual Review 2023』p.5 の図「参加人口推移(レジャー白書2022)」のデータラベル(=レジャー白書2022年版時点の遡及系列)による。同図の2005〜2007年は週刊ゴルフダイジェストの同時代報道と、2011〜2016年はGMAC 2017年プレスリリースおよび一季出版の報道と一致することを確認済み。
注: 白書の無料公開資料(プレスリリース・速報版)には参加人口上位20位しか載らずゴルフは圏外のため、参加人口の絶対値は一次では公開されていない。一次で確認できるのは参加率のみ(例: 対象年2024はコース5.0%・練習場4.6%)。
注: 1993〜1999年の値は環境省サイト掲載資料「余暇活動参加人口の推移」(出典表記: (財)自由時間デザイン協会『レジャー白書2002』)の「ゴルフ(コース)」行による。2026-08-03に表の行見出しと全数値(1993〜2002年: 1,440/1,450/1,420/1,380/1,340/1,270/1,220/1,290/1,340/1,040万人)を目視で確認済み。同表にゴルフ練習場の行は無い。
注: 1992年以前は入れていない。1992年をピーク1,480万人とする学術論文(中央大学紀要・高千穂論叢)が存在するが、原典の白書年版とコース/練習場の別を本文で確認できなかったため不採用とした。
注: 対象年2001→2002でコース人口が1,340→1,040万人と約22%減少しているが、この断層を説明する調査手法の変更は今回の調査では一次・準一次ソースで確認できなかった(break_years には入れていない)。
笹川スポーツ財団『スポーツライフ・データ』は、20歳以上を対象に「ゴルフ(コース・練習場のいずれか、または両方)を年1回以上実施した人」の割合を隔年で調べています。年代別の実施率は次のように動きました。
年1回以上の実施率(単位: %)
| 年代 | 2000年 | 2010年 | 2020年 | 2024年 |
|---|---|---|---|---|
| 20歳代 | 11.8 | 7.5 | 4.8 | 8.5 |
| 30歳代 | 14.0 | 9.5 | 6.1 | 8.7 |
| 40歳代 | 17.0 | 12.3 | 6.6 | 9.1 |
| 50歳代 | 19.1 | 13.8 | 9.7 | 8.8 |
| 60歳代 | 10.4 | 13.1 | 11.5 | 8.9 |
| 70歳以上 | 0.5 | 7.0 | 6.7 | 9.0 |
事実として押さえる点は2つあります。第一に、20歳代の実施率は2020年の底から2024年にほぼ倍まで戻しましたが、2000年の水準にはまだ届いていません。第二に、この四半世紀でもっとも動いたのは70歳以上で、2000年にはほぼゼロだった実施率が2024年には他の年代と並ぶ水準まで上がりました。
その結果、2024年は20歳代から70歳以上までの実施率が8.5〜9.1%の範囲に収まり、2000年にあった年代間の大きな差はほぼ消えています。ここからは解釈になりますが、ゴルフは「働く世代が付き合いでやる競技」から「年齢を問わない生涯スポーツ」へ、参加者の性格が変わったと読むのが自然です。
同じ調査の性別データを見ると、女性比率は上がっています。ただし、上がった理由が問題です。
推計人口と女性比率
| 年 | 男性(万人) | 女性(万人) | 女性比率 |
|---|---|---|---|
| 2000年 | 1,119 | 195 | 14.8% |
| 2010年 | 944 | 161 | 14.6% |
| 2018年 | 856 | 107 | 11.1% |
| 2020年 | 659 | 123 | 15.7% |
| 2022年 | 697 | 144 | 17.1% |
| 2024年 | 732 | 159 | 17.8% |
女性比率は「女性÷(男性+女性)」で計算しています(調査元は全体と男女別を別々に推計しており、男女の合計は全体の推計値と一致しないため)。
2000年と2024年を比べると、男性は約35%減、女性は約18%減です。つまり女性比率が上がったのは、女性が増えたからではなく、男性の減り方のほうが大きかったからです。一方、2020年と2024年を比べると女性は約29%増、男性は約11%増で、直近の4年に限れば女性の伸びのほうが大きくなっています。
水準は調査によって違いますが、方向は近いところにあります。日本生産性本部『レジャー白書2023』(対象年2022年)では、コースの女性比率が23.3%と前年から3.7ポイント上がり、練習場と合わせて2割を超えたと報じられました。他方、業界団体の資料に採録されたスポーツ庁調査の集計では、コースでのラウンドの実施率は2022年調査で男性11.0%・女性1.8%、2024年調査で男性9.3%・女性1.6%と、男女ともに下がっています。「比率は上がったが、実施率も実数も高水準ではない」という形が、複数の調査に共通しています。
施設側では、入口が屋外の練習場からインドアへ移りつつあります。全日本ゴルフ練習場連盟の施設数調査では、インドア施設が2018年度の1,070か所から2025年度の2,541か所へと約2.4倍になり、屋外の練習場(2,259か所)を初めて上回りました。
利用者側のデータでも、若い層ほど「コースより先に練習場・シミュレーション」という順序が見えます。スポーツ庁の世論調査(2024年11月・有効回収40,000件・対象18〜79歳)の実施率は次のとおりです。
この1年間に実施した割合(単位: %)
| 年代 | 男性コース | 男性練習場等 | 女性コース | 女性練習場等 |
|---|---|---|---|---|
| 10歳代 | 1.0 | 1.1 | 0.2 | 1.5 |
| 20歳代 | 4.5 | 5.3 | 1.2 | 2.1 |
| 30歳代 | 6.9 | 5.9 | 1.0 | 1.0 |
| 40歳代 | 7.4 | 6.2 | 1.1 | 1.1 |
| 50歳代 | 9.5 | 7.3 | 1.7 | 1.6 |
| 60歳代 | 11.8 | 8.8 | 2.2 | 1.6 |
| 70歳代 | 15.8 | 10.7 | 2.0 | 1.2 |
| 全体 | 9.3 | 7.3 | 1.6 | 1.4 |
「練習場等」は練習場とシミュレーションゴルフを含みます。10歳代・20歳代は男女とも練習場等の実施率がコースを上回り、30歳代以降で逆転します。調査対象が18〜79歳のため、10歳代は18歳・19歳のみである点に注意してください。
始めるきっかけも変わりました。ゴルフダイジェスト・オンラインの会員調査(2025年9〜10月・有効回答5,364人)では、初ラウンドの年齢の中央値は26歳で、世代による差はほとんどありません。一方できっかけは「仕事の関係で」がミレニアル世代の50.8%からゆとり世代の42.0%へ下がり、「家族の影響で」が26.0%(全体平均14.5%)へ上がっています。
定義: 公益社団法人全日本ゴルフ練習場連盟(JGRA)調査研究委員会「全国練習場施設数調査」における『インドア』施設数の総合計(全国47都道府県)。屋内型のゴルフ練習場・シミュレーションゴルフ施設・インドアレッスンスタジオ等を含み、JGRA会員施設に限らない。調査方法は屋外と同一(会報誌の郵送返戻確認+インターネット・各地区連盟からの報告)。year は調査年度を表し、実際の調査時点は年度ごとに異なる(caveats 参照)。
注: 調査時点は 2018年度=2019年2月28日現在 / 2019年度=2019年12月10日現在 / 2020年度=2020年10月25日現在 / 2021年度=2021年10月20日現在 / 2022年度=2022年10月20日現在 / 2023年度=2023年10月31日現在 / 2024年度=2025年1月30日現在 / 2025年度=2026年1月30日現在。
注: 2020年度は5月調査(2020年5月31日現在、アウトドア2,443・インドア1,042)と10月調査の2回が公表されている。年次系列には各年度1回のみ採用する方針から10月調査を採用した。
注: 2019年度の数値はJGRA公式サイトに現存しないため、ゴルフ市場活性化委員会(GMAC)が原典(JGRA、2019年12月10日現在)を明記して掲載した数値を採用した。
注: 2020〜2024年度はJGRA公式ページの当時の版(Wayback Machine アーカイブ)から取得した。数値はJGRA自身が公表した総合計行。
注: JGRAは2025年度調査から「実態をより正確に把握するため」調査方法を変更したと注記している(インドア施設数の前年対比に大きな差異が出ている)。
注: 2025年度表の甲信越ブロックのアウトドア「計」欄(177)は都道府県内訳(18+37+62=117)と一致しない原典の誤記とみられるが、総合計2,259・2,541は都道府県内訳の合計と一致することを検算済み。
注: 経済産業省「特定サービス産業実態調査」「特定サービス産業動態統計調査」にもゴルフ練習場の事業所数系列があるが、調査対象・定義・屋内外の区分がJGRA調査と異なるため本系列には混在させていない。
注: 2025年度は調査方法変更により前年から+1,029施設(1,507→2,541)と不連続に増加している。2024年度以前と2025年度以降を単純比較しないこと。
ここまでの数値を、起点別に整理します。
| 問い | 2000年を起点にすると | 2020年の底を起点にすると |
|---|---|---|
| 若年層は増えたか | 20歳代の実施率は11.8%から8.5%で、まだ戻っていない | 4.8%から8.5%へ、ほぼ倍に回復 |
| 女性は増えたか | 推計195万人から159万人へ減少 | 123万人から159万人へ約29%増 |
| 女性比率は上がったか | 14.8%から17.8%へ上昇 | 15.7%から17.8%へ上昇 |
つまり「若者と女性が増えた」という報道は、コロナ禍前後の落ち込みを起点にすれば正しく、2000年を起点にすれば成り立ちません。どちらを起点にしたのかを書かずに「増えた」とだけ伝えると、実態を取り違えます。
女性比率の上昇についても、2022年までの分は男性の減少幅が大きかったことによる部分が大きく、女性が増えた結果とは言い切れません。ただし2020年以降は女性の推計人数も増えているので、「比率の上昇は分母が縮んだだけ」と切り捨てるのも正確ではありません。
もっとも大きく変わったのは高齢層です。70歳以上の実施率は2000年の0.5%から2024年の9.0%へ上がり、年代間の差はほぼ消えました。「若者が増えた」よりも、この変化のほうが構造としては大きい、というのが数値から読める結論です。
この数値の限界: 笹川スポーツ財団の調査は有効回収3,000件で、2024年のゴルフ実施者は270人前後(8.9%×3,000)と推定されます。これを性別と年代に割ると1区分あたり十数人規模になり、単年で1〜2ポイントの動きは誤差の範囲に入り得ます。属性別の数値は単年の水準ではなく方向で読むのが安全です。レジャー白書(有効回収3,467件)も事情は同じで、大きな標本があるのはスポーツ庁の世論調査(40,000件)です。
以下は事実の整理ではなく、ここまでのデータからの見立てです。
数字を引用するときの注意をひとつ。同じ「ゴルフ人口」でも、レジャー白書はゴルフ場でのプレーのみを数えて2024年で480万人、笹川スポーツ財団はコースまたは練習場のいずれかを数えて同じ2024年で912万人と、定義が違えば倍近く変わります。属性別の比率も調査ごとに違うので、どの調査のどの定義かをセットで引用してください。
起点によります。笹川スポーツ財団の調査では、20歳代の実施率は2020年の4.8%から2024年の8.5%へほぼ倍に戻りましたが、2000年の11.8%にはまだ届いていません。「コロナ禍の底からは大きく回復した」が正確な言い方です。
調査によって違います。笹川スポーツ財団の推計人口ベースでは2024年で17.8%(女性159万人÷男女計891万人)。日本生産性本部『レジャー白書2023』(対象年2022年)ベースでは、コースの女性比率が23.3%と報じられています。数える対象(コースのみか練習場を含むか)と調査方法が違うため、単純比較はできません。
分母である男性が、より速く減っているからです。2000年と2024年を比べると男性は約35%減、女性は約18%減で、どちらも減っていますが減り方が違います。ただし2020年以降に限れば、女性の推計人数も約29%増えています。
スポーツ庁の2024年11月調査では、コースでのラウンドの実施率がもっとも高いのは男性70歳代の15.8%です。男女とも、年代が上がるほど実施率が高くなります。
施設側は明確に増えています。全日本ゴルフ練習場連盟の調査では、インドア施設は2018年度の1,070か所から2025年度の2,541か所へ増え、2025年度に屋外の練習場数を初めて上回りました。利用者側でも、10歳代・20歳代は男女とも練習場・シミュレーションの実施率がコースを上回っています。
数える対象と調査方法が違うからです。レジャー白書はゴルフ場でのプレーのみを数えて2024年で480万人、笹川スポーツ財団はコースまたは練習場のいずれかを数えて同じ2024年で912万人です。前者はインターネット調査、後者は訪問留置法という違いもあります。引用するときは調査名と定義をセットで示すのが安全です。
大きくは変わっていません。ゴルフダイジェスト・オンラインの会員調査(有効回答5,364人)では、初ラウンド年齢の中央値は26歳で、戦前・戦中生まれ世代の30歳とゆとり世代の27歳の差は3歳にとどまります。変わったのはきっかけで、「仕事の関係で」が減り「家族の影響で」が増えています。
最終更新: 2026-08-03