教わった直後のラウンドが、その年でいちばんひどい
半分ホント 崩れるのは本当。ただし原因は新しいフォームに体が慣れていないことではなく、打つ瞬間に自分の体を見張っていること
日曜にレッスンを受けて、木曜にラウンド。教わったことをちゃんと覚えていて、ちゃんと思い出しながら振っている。なのに、その日のスコアがその年でいちばん悪い。 たぶん、あなただけではありません。そして悪いのは、レッスンのほうではないんです。
レッスンの翌週にスコアが崩れるのは、気のせいではありません。本当に起きます。
ただ、理由はよく言われる「新しいフォームに体が慣れていないから」ではありません。慣れの問題なら、練習場でも同じように崩れるはずです。でも実際は、練習場ではむしろ手ごたえがある。崩れるのはコースに出た日だけですよね。順番が合いません。
もうひとつ。崩れやすいのは、たいてい上手い人のほうです。始めたばかりの人は、教わったことを意識するとその場で良くなります。腕が上がってからのほうがひどく崩れるという、逆向きの話になっています。
犯人は、打つ瞬間に自分の体を見張っていることです。拍子抜けするかもしれませんが、ここから順に説明します。
打つ瞬間に自分の動きを見張ると、成績は落ちます。しかも、上手い人ほど大きく落ちます。
ゴルフのパットで確かめた実験があります。ふだんどおり打つときと、「いまインパクトでどこに当たったか」を答えながら打つとき。上級者は後者で、明らかに入らなくなりました。別の実験では、打ちながら耳で音を聞き分ける、つまり気を散らす条件のほうが、自分の動きを追いかける条件よりよく入っています。じゃまをされたほうが上手いのです。
始めたばかりの人は逆でした。手の動きに注意を向けたほうが良くなります。まだ体が覚えていない段階では、見張ることが助けになるからです。
つまり境目は「上手いかどうか」ではなく、その動きがもう体に入っているかどうか。入っているものを見張ると、壊れます。
レッスンの翌週にそれが起きるのは、1年でいちばん注意が内側を向いている週だからです。
レッスンでは、体のどこをどう動かすかを言葉で教わります。右肘、左手首、頭の位置。当たり前です。それが教えるということですから。そして真面目な人ほど、それを忘れないままコースに出ます。
問題は、コースには忘れさせてくれるものがないことです。練習場なら、10球のうち2球だけ意識して、残りは流せます。でもコースは1打ごとに間があいて、しかも1打ごとに結果が出る。曲がるたびに「あ、右肘」と戻ってきます。18ホール、ずっと自分の体を見張り続けることになります。
だから、これはレッスンのせいではありません。習った中身は正しいまま、置く場所だけが間違っています。
「フォームが定着するまでは我慢の期間」。よく言われますが、そのまま受け取ると損をします。
たしかに、根拠はあります。トップ選手のスイングを何か月もかけて作り直す研究では、いったん自動化を壊す段階が必要とされていて、実際にその間は動きがばらつきます。数か月にわたって追いかけた記録も残っています。
ただ、そこで見ているのは練習場での動きのばらつきであって、コースのスコアではありません。しかもプロが計画を立て、専門家が横で支えながら進める話です。週末に1回受けたレッスンとは規模が違います。
そして肝心のところ。パットの実験では、フォームを意図的に変えて打っても、入る確率そのものは落ちませんでした。落ちたのは、打点を意識しながら打ったときだけです。壊しているのは「変えたこと」ではなく「見張ったこと」でした。
だから、これは耐える期間の話ではありません。やり方の話です。期間で考えると「まだ2週間だから仕方ない」で止まりますが、やり方で考えると、次のラウンドから変えられます。
対策の1つめは身も蓋もありません。習った直後にラウンドを入れないことです。
新しい動きは、練習場で固めてからコースに持っていきます。目安は「意識しなくても出るようになるまで」であって、日数ではありません。3日で出る人もいれば、3週間かかる人もいます。
このとき効くのが、球の行方を見ない練習です。上級者で比べた研究では、ネットに向かって打った条件のほうが、屋外で飛球を追いながら打った条件より、直そうとしている部分のばらつきが小さくなりました。結果が見えると、そちらに気を取られて修正が散らかるということです。
だから、順番はこうなります。
| いつ | やること |
|---|---|
| レッスン当日 | そのまま練習場か自宅で素振り。教わった形だけを確かめる。球の行方は見ない |
| 2〜3日後 | 練習場で球を見ながら確認。半分は前のスイングで打って、差を見る |
| 意識しなくても出たら | ここでようやくラウンド。持ち込むのは1つだけ |
逆に、日曜に習って木曜にラウンド、というのがいちばん危ない並びです。動きが変わりきる前に、いちばん見張りやすい場所へ持っていくことになるからです。順番を飛ばした週のスコアは、はじめから数えないほうがいいです。
コースに持ち込んでいいのは1つだけです。しかも、体の言葉から外の言葉に変換してから持ち込みます。
「右肘を絞る」は自分の体の話なので、打つ瞬間の見張り対象になります。同じ内容でも、見る先が体の外にあれば見張りになりません。入れ替えるのは1語か2語で足ります。
| 教わった言い方 | 持ち込む言い方 |
|---|---|
| 右肘を体の近くに | クラブヘッドを低く長く出す |
| 手首の角度をほどかない | シャフトを立てたまま下ろす |
| 頭を残す | ボールがあった場所を見ておく |
| 肩をしっかり回す | 背中を目標に向ける |
| (どうしても決められないとき) | あの木の右に打ち出す |
初心者でも上級者でも、外に向けたほうが正確だったという実験があります。ただし正直に書くと、この効果がどれくらい大きいかは研究者のあいだでまだ決着がついていません。それでも方向ははっきりしています。少なくとも、自分の体を見張るよりはましです。
そして上級者でいちばん入ったのは、何も指示されずに打った条件でした。何も考えないのが最強なのですが、それができないから1つに絞る。そういう順番だと思ってください。
よくあります。ただ「普通だから仕方ない」で終わらせると、毎回そうなります。崩れた日があったら、コースで何を考えていたかを思い出してみてください。体の部位の名前が出てきたら、それが原因です。
日数では決まりません。合図は「意識しなくても出るか」だけです。そして戻る前でもラウンドはできます。その週は新しい動きを一度おいて、前のスイングで回ってしまってかまいません。中途半端に半分だけ持ち込むのが、いちばん悪い出方をします。
意識すること自体は禁止ではありません。問題は打つ瞬間に見張ることです。素振りとアドレスまでに済ませて、動き出しと同時に外へ切り替える。この境目さえ守れれば、考えても大丈夫です。
早ければその日のうちです。言葉の向け方を変えただけで、その場で結果が変わった実験もあります。ただしそれは練習場での話。コースのスコアに出るのは、その動きを見張らずに打てるようになってからです。効いていないのではなく、出てくる場所が違うだけです。
重なる部分はありますが、それだけではありません。コースには傾斜も一発勝負も同伴者もあるので、全部を注意の向け先では説明できません。ただしレッスンの翌週だけ極端に悪いなら、まずこの記事の話を疑ってください。
最終更新: 2026-08-30