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1mのパットが入らない

5mは寄るのに、残った1mを外す

半分ホント 1mが五分五分になる人は本当にいる。間違っているのは「1mは入って当たり前」という前提のほう

5mのパットが、いい感じにカップの脇で止まる。残り1m。ここから急に、手が別の生き物になります。 入って当たり前だと思っているから、外すと自分だけが下手に見える。でも、その「当たり前」のほうが間違いです。

1mのパットを外すのは下手だからではなく、100を叩く人が半分入る距離が1.2mであるためだと示したカード
1mは、寄っているようで勝負がついていない距離

外して当たり前の距離があります

1mのパットを外しても、あなたが特別に下手なわけではありません。外して当たり前の距離が、思っているよりずっと手前にあるだけです。

PGA TOURの選手でも、ちょうど半分しか入らなくなる距離は2.4mあたりです。プロで2.4m、と聞くと近く感じますよね。ではアマチュアはどこかというと、スコア97〜120で回る人の場合、半々になるのは1.2mまで縮みます。90台の人で1.6mくらいです。

つまり100を叩くゴルファーにとって、1mはまだ勝負がついていない距離です。入ることもあれば外れることもある、というより、ほとんどコインを投げています。

ただし、現象が本物だからといって、原因の理解まで正しいとは限りません。「5mは寄るのに1mを外す」を、多くの人は自分の腕やメンタルの問題として受け取ります。ずれているのは、そこです。

パットの成功率を、距離別に見る

PGA TOURの距離別カップイン率の折れ線。0.9mでほぼ100%だが1.8mでは約7割まで落ち、短い側ほど傾きが急
急に落ちるのは、いちばん短いところ

短いほど入ります。ただし、落ち方が急です。

PGA TOURの今シーズンの平均は、こうなっています。

カップまでの距離 入った割合
0.9m(3フィート) 99.5%
1.2m(4フィート) 92.5%
1.5m(5フィート) 81.6%
1.8m(6フィート) 70.7%
2.4m(8フィート) 53.7%
3.0m(10フィート) 43.6%

0.9mなら、プロはほぼ取りこぼしません。ところが1.8mでは、10回に3回外れています。

そしてこの先は、むしろゆるやかです。1mから2mのあいだで一気に落ちて、そこから先は粘る。カーブがいちばん急なのは、いちばん短いところなんです。だから「あと少し寄っていれば」の"少し"は、遠い距離より近い距離のほうが重くなります。

これはプロの数字です。アマチュアの場合、この形がまるごと手前にずれます。

なのに「自分だけ下手」と感じる理由

「自分だけが短いパットに弱い」。この感覚のほうが、事実とずれています。

理由は2つあって、どちらも数字の出どころの問題です。

ひとつは、比べる相手を間違えていること。私たちが「1mのパット」として思い浮かべるのは、たいていテレビで見た映像です。あれはプロの、しかも入ったパットです。外した1mは中継に残りません。ロングパットでも同じことが起きていて、決まった1本だけがハイライトになり、外れたぶんは誰も覚えていない。

もうひとつは、記憶の残り方です。入って当たり前だと思っている距離は、入っても何も起きません。外したときだけ事件になる。だから10回のうち2回外しているだけでも、頭の中では「毎回外している」ことになります。

外れるのは本当です。ずれているのは、それを自分ひとりの問題として受け取るところだけ。

短いパットで固まるのは、目的が入れ替わるから

1mだけ手が止まるのは、構えたときに目的がすり替わっているからです。

5mのときは「寄せる」を考えています。1mになると、それが「入れる」に変わり、さらにその手前で「外さない」に変わる。狙う先が、カップから"失敗しない場所"へ移っています。

これがよくないのは、動作の指示としては空っぽだからです。「外さない」には方向も強さも入っていません。しかも、避けようとしていることのほうが起きやすくなります。オーバーさせないよう指示したうえで、ほかのことも考えさせながら打たせると、かえってオーバーが増える。手元を見ているとさらに増える。そういう実験があります。

だから短いパットで先に直すのは、ストロークではなく狙いの言い方です。「外さない」を「右のふちを通す」に置き換えるだけで、体に届く指示になります。

なお、構えた瞬間に手が跳ねる、動き出せない、というところまで行くとイップスの領域で、これは別の話です。

本当に効くのは「寄せる距離を変える」こと

1mのパットを外さなくなるいちばん確実な方法は、1mを打たないことです。

変えるのは、ロングパットの目標のほうです。多くの人は「カップに寄せる」を目標にしていて、うまくいくと1mくらいのところに集まります。そこが、いちばん割に合わない場所です。

前の章のカーブを思い出してください。アマチュアはあの形が手前にずれていて、100を叩く人の五分五分は1.2m。つまり1mに寄せても、まだ半々の勝負が残っています。「寄った」と思っている1mは、勝負がついていない距離なんです。

だから狙いは「1m以内」ではなく、はっきりその内側。50cmまで来れば、傾斜を読む必要もありません。1mと50cmは、同じ「寄った」でも中身が別物です。

見るものも変わります。カップまでの距離ではなく、残った距離のほう。5mを2回打って、残りが50cmと1.2mなら、それは同じ結果ではありません。前者は次が決まっていて、後者はまだ何も決まっていない。

パッティングの練習は、本数ではなく距離を変える

同じ場所から10球続けて入れても、コースには持っていけません。

コースには「同じ場所からの2球目」が存在しないからです。1球目で入れば終わり、外せば残りは別の距離になる。練習で10球目が入るようになったのは、その日そこに慣れただけで、翌日には残りません。

パッティングを課題にした学習の研究でも、距離を入れ替えながら打った人のほうが、後日の再テストで成績が残りました。ただし順番があります。最初からバラバラにするより、はじめはまとめて打ち、慣れてきたら1球ずつ距離を変えていくやり方がいちばんよかった。条件を変える練習には、意識が自分の体ではなく狙いのほうに向く、という副産物もあります。

やることは単純です。カップの周りに、距離も傾斜も違う場所を4つ作る。1球ずつ順番に回る。同じ場所には戻らない。10分で足ります。

ひとつだけ、入った本数は数えないこと。数え始めると、練習の目的がまた「外さない」に戻ります。

よくある質問

1mのパットは、プロならどれくらい入りますか?

0.9mならほぼ100%です。1mを「入って当たり前」と感じるのは、たいていこの数字を基準にしているからで、比べる相手としてはかなり厳しい。そのプロでも1.8mまで下がれば、10回に3回は外しています。

ショートパットが入らないのは技術ですか、メンタルですか?

順番でいうと、まず距離です。自分が半々になる距離を知らないまま「メンタルが弱い」で終わらせると、直しようがありません。まず測る。その距離より内側に残せているかを見る。メンタルの話は、そのあとで十分間に合います。

短いパットの練習方法を教えてください。

同じ場所から連続で打たない。守るのはこれだけです。距離と傾斜が違う4か所を、1球ずつ順番に回れば条件は満たせます。そして入った本数は数えないでください。数えた瞬間に、目的が「外さない」に戻ります。

何メートルまで寄せれば1パットで済みますか?

一律の答えはありません。先に自分の五分五分の距離を知ってください。100を叩く人なら1.2m前後です。その距離はまだ「寄った」とは言えないので、目標はさらに内側、50cmを目安に取ります。

イップスかどうかは、どう見分けますか?

短いパットだけ緊張する、はよくあることです。ただし構えた瞬間に手が跳ねる、動き出せない、といった自分で止められない動きが出るなら別の話で、緊張から神経の問題まで幅のあるものとして扱われています。練習量で押し切ろうとせず、一度専門家に相談したほうが早いです。

ほかのあるある

出典

最終更新: 2026-08-30