全米プロゴルフ選手権 (PGA Championship) は、男子ゴルフの4大メジャーの一つ。米国のPGA of Americaが主催し、毎年5月に開催されます。4メジャーの中で唯一「プロ専用」の大会で、原則アマチュアは出場できません。よく混同されますが、主催するPGA of AmericaはPGA TOURとはまったく別の組織です。この記事では出場資格・歴史・歴代優勝者・ワナメイカートロフィー・日本人の成績まで、初心者にもわかりやすく解説します。
全米プロゴルフ選手権 (正式名: PGA Championship、通称「全米プロ」) は、男子ゴルフの4大メジャー (マスターズ・全米オープン・全英オープン・全米プロ) の一つです。1916年に創設され、第1回の優勝者はジム・バーンズでした。
主催するのは PGA of America (全米プロゴルフ協会)。これは全米のティーチングプロ・クラブ専属プロを中心とする職能団体で、トーナメントを主戦場とする PGA TOURとは別の組織です (両者の関係は後述)。
この大会の最大の特徴は、4メジャーで唯一「プロのみ」が出場する点です。マスターズ・全米オープン・全英オープンはアマチュアにも門戸が開かれていますが、全米プロは原則アマチュア不可。PGA of Americaの成り立ちを反映した制度です。
フォーマットは創設から1957年までマッチプレーで行われ、1958年から現在のストロークプレー (4日間72ホールの合計打数で競う方式) に変わりました。かつて8月開催で「その年最後のメジャー」だったことから "Glory's Last Shot" (栄光への最後の一打) という愛称で呼ばれていましたが、2019年から5月開催へ移りました。
全米プロは1916年、百貨店経営者ロドマン・ワナメイカーの支援でPGA of Americaが設立されたのと同じ年にスタートしました。第1回 (1916) と第2回 (1919) を制したのはイングランド出身のジム・バーンズです (1917〜18は第一次世界大戦で中止)。
優勝回数の最多記録は、ウォルター・ヘーゲンとジャック・ニクラスの5勝です。ヘーゲンはマッチプレー時代に5勝を挙げ、うち1924〜1927年は 4連覇という今も破られない記録を残しました。ニクラスはストロークプレー時代に5勝 (1963・71・73・75・80) し、ストローク時代の単独最多です。タイガー・ウッズは4勝で続きます。
2019年には開催時期が8月から5月へと大きく移動しました (理由は後述)。
近年の優勝者は次の通りです。
| 年 | 優勝者 | 開催コース |
|---|---|---|
| 2026 | アーロン・ライ (英) | アロニミンクGC |
| 2025 | スコッティ・シェフラー (米) | クエイル・ホロウ |
| 2024 | ザンダー・シャウフェレ (米) | バルハラ |
| 2023 | ブルックス・ケプカ (米) | オークヒル |
| 2022 | ジャスティン・トーマス (米) | サザンヒルズ |
| 2021 | フィル・ミケルソン (米) | キアワ・アイランド |
| 2020 | コリン・モリカワ (米) | TPCハーディング・パーク |
2026年のアーロン・ライは、ジム・バーンズ (1916・1919) 以来となるイングランド出身の優勝者となりました。
全米プロは毎年異なるコースを巡って開催されます (マスターズがオーガスタ・ナショナル固定なのとは対照的)。比較的距離が長く、難度の高いコースが選定される傾向があります。
近年と今後の会場は次の通りです。
| 年 | 開催コース | 所在地 |
|---|---|---|
| 2024 | バルハラGC | ケンタッキー州 |
| 2025 | クエイル・ホロウ | ノースカロライナ州 |
| 2026 | アロニミンクGC | ペンシルベニア州 |
| 2027 | PGAフリスコ | テキサス州 |
| 2028 | オリンピック・クラブ (レイクコース) | カリフォルニア州 |
| 2029 | バルタスロールGC (ロワーコース) | ニュージャージー州 |
2027年のテキサス州フリスコはPGA of Americaの新本部に隣接する施設で、協会が長期的な「ホームコース」と位置づける会場です。
開催時期: 2019年以降は 5月第3週に開催されます。それ以前は8月開催で、4大メジャーの最後を飾る大会でした。現在は4メジャーの中で2番目 (マスターズの次) に行われます。
日程: 木曜から日曜の4日間。72ホール (18ホール × 4ラウンド) のストロークプレーで、合計打数の最も少ない選手が優勝します。2日目終了後に予選カット (上位70位タイまでが多い) が行われます。
プレーオフ: 72ホールを終えて首位が並んだ場合は、3ホールの合計打数 (3-hole aggregate playoff) で優勝を決めます。1ホールごとのサドンデスを採用する全米オープン・マスターズとは異なる方式です。
出場人数: フィールドは最大 156名に設定されています。
全米プロの出場は、招待制と自動出場資格を組み合わせた複数のカテゴリーで決まります。主なカテゴリーは次の通りです (年により細部は変動します)。
| カテゴリー | 内容 |
|---|---|
| 歴代優勝者 | 全米プロの過去優勝者 (生涯出場資格) |
| 直近のメジャー優勝者 | マスターズ・全米オープン・全英オープンの近年の優勝者 |
| ザ・プレーヤーズ選手権 優勝者 | 直近3年の優勝者 |
| 前年大会の上位 | 前年PGA Championshipの上位15位タイ |
| PGA TOUR優勝者 | 直近の大会で優勝した選手 |
| 世界ランキング上位 | OWGR (世界ゴルフランキング) 上位100位前後 |
| PGAクラブプロフェッショナル | PGA Professional Championshipの上位20名 |
最後の PGAクラブプロフェッショナル枠は、この大会ならではの特徴的な制度です。普段はゴルフ場やレッスンの現場で働くPGA of America会員のプロが、年に一度の選手権 (PGA Professional Championship) で上位20名に入ると、世界のトッププロと同じ舞台に立てます。主催が「プロの職能団体」であるPGA of Americaだからこそ用意された枠です。
賞金: 2025年大会 (クエイル・ホロウ) の総額は 1,900万ドルで、メジャー大会として当時の記録額でした (前年バルハラから50万ドル増)。優勝者スコッティ・シェフラーの優勝賞金は 342万ドル。予選通過者には最低でも約23,420ドルが保証されました (PGA TOUR公式)。
ワナメイカートロフィー (Wanamaker Trophy): 優勝者に贈られるトロフィーは、協会設立を支援した実業家ロドマン・ワナメイカーにちなんで名付けられました。重さ約27ポンド (約12 kg) と4大メジャーのトロフィーの中で最も大きく重いことで知られます。優勝者は翌年の大会までの1年間、トロフィーを持ち帰ることができます (近年は破損防止のため貸し出されるレプリカを保持)。
直近の優勝者を見ると、2020年コリン・モリカワ、2022年ジャスティン・トーマス、2024年ザンダー・シャウフェレと、現役トップ選手が名を連ねます。ブルックス・ケプカは2018・2019・2023年と通算3勝を挙げ、近年の全米プロを象徴する存在です。2025年は世界ランク1位のスコッティ・シェフラーが5打差の圧勝でメジャー3勝目を飾りました。
日本人選手の成績: 日本人の最高位は 1988年大会で中嶋常幸が記録した3位です。松山英樹は2016年に4位、2017年に5位と上位に食い込んでおり、日本勢の優勝が期待される大会の一つです。
通算優勝回数では、ウォルター・ヘーゲンとジャック・ニクラスの5勝が最多、タイガー・ウッズが4勝で続きます。
2026年大会(第108回)はアロニミンクGC(米ペンシルベニア州)で開催され、イングランドのアーロン・ライが通算9アンダー・274でジョン・ラーム、アレックス・スモーリーに3打差をつけ、13度目のメジャー出場で自身初のメジャー制覇を飾りました(PGA Championship公式)。マスターズを制したマキロイに続く欧州勢の勝利で、現行4大メジャー史上初めて、シーズン最初の2メジャーを欧州選手が分け合う結果となりました。
日本での放送・配信は年によって変わるため、最新の各社案内の確認が確実です。近年は CBS (米国) の国際映像をベースに、日本では衛星放送・配信サービスで中継されてきました。
地上波では時期によりTBS系で録画・ハイライト放送が組まれることがあり、ライブ視聴は衛星・配信が中心です。視聴前にその年の放送権者 (テレビ局・配信プラットフォーム) を公式や番組表で確認するのがおすすめです。
料金・配信内容は変更されることがあります。最新の条件は各公式サイトでご確認ください。
主催の PGA of America は、全米プロ以外にも複数の大会・対抗戦を運営しています。
ここで改めて重要なのが PGA of AmericaとPGA TOURの違いです。PGA TOURはもともとPGA of Americaの一部門でしたが、1968年にツアー選手たちが分離・独立してできた別組織です。全米プロを主催するのはPGA of Americaであり、年間ツアー (フェデックスカップ等) を運営するPGA TOURではありません。
いいえ、別組織です。全米プロを主催するのはPGA of America (全米プロゴルフ協会)、年間ツアー (フェデックスカップ等) を運営するのはPGA TOUR, Inc. です。PGA TOURはもともとPGA of Americaの一部門でしたが、賞金配分などをめぐる対立から1968年12月にツアー選手側が分離・独立し、別組織になりました (当初はTournament Players Division、1975年にPGA Tourと改称)。
主催が、ティーチングプロやクラブ専属プロを中心とする職能団体PGA of Americaだからです。1916年の創設以来「プロの選手権」として運営されてきた経緯があり、4大メジャーで唯一アマチュアが原則出場できない大会になっています。
普段はゴルフ場やレッスンの現場で働くPGA of America会員のプロが出場できる特別枠です。年に一度のPGA Professional Championshipで上位20名に入ると、世界のトッププロと同じ全米プロの舞台に立てます。主催が職能団体だからこその制度で、この大会の大きな特徴です。
2025年大会 (クエイル・ホロウ) の総額は1,900万ドルで、当時のメジャー記録額でした。優勝したスコッティ・シェフラーの賞金は342万ドル。予選通過者には最低約23,420ドルが保証されました。賞金額は年々増加傾向にあるため、最新の数字は公式発表で確認してください。
はい。優勝者は翌年の大会までの1年間トロフィーを保持できます。ワナメイカートロフィーは重さ約27ポンド (約12 kg) と、4大メジャーのトロフィーの中で最も大きく重いことで知られます (近年は破損防止のためレプリカを持ち帰る運用)。
主催団体と出場制度が異なります。下表の通りです。
| 全米プロ | 全米オープン | |
|---|---|---|
| 主催 | PGA of America | USGA (全米ゴルフ協会) |
| 出場 | プロのみ (アマ不可) | プロ・アマ問わずオープン (予選あり) |
| 開催時期 | 5月 | 6月 |
名前が似ていますが別の大会なので混同に注意してください。
日本人の最高位は1988年大会で中嶋常幸が記録した3位です。松山英樹は2016年に4位、2017年に5位と上位に入っています。
2019年からの移動です。PGA TOURがフェデックスカップ・プレーオフを8月に前倒しし、シーズンを8月中に終える日程に再編したため、従来8月だった全米プロが5月へ移りました。背景にはNFLシーズンと視聴者を奪い合う夏終盤を避ける狙いや、5月の方がコースコンディションが良いといった理由もあります。2019年大会 (ベスページ・ブラック) は1949年以来の5月開催となりました。
最終更新: 2026-06-10