KPMG全米女子プロ (KPMG Women's PGA Championship) は、女子ゴルフの5大メジャーの一つ。起源は1955年に創設された「LPGA Championship」で、女子メジャーの中でも長い歴史を持つ大会です。2015年から会計事務所KPMGが冠スポンサーに付き、男子の全米プロを主催するPGA of Americaが共催に加わって、賞金・露出が一気に強化されました。そして何より、日本人にとっては樋口久子が1977年に制した大会 (当時の名称はLPGA Championship) であり、日本ゴルフ史でもっとも重要なメジャーの一つです。この記事では大会の成り立ち・歴史・出場資格・賞金・歴代優勝者まで、初心者にもわかりやすく解説します。
KPMG全米女子プロ (正式名: KPMG Women's PGA Championship) は、女子ゴルフの5大メジャー (シェブロン選手権・全米女子オープン・KPMG全米女子プロ・アムンディ・エビアン選手権・AIG全英女子オープン) の一つで、シーズンの第3戦にあたります。
大会を運営するのは、米国女子ツアーを統括する LPGA (Ladies Professional Golf Association) と、男子の全米プロ (PGA Championship) を主催する PGA of America (全米プロゴルフ協会) の共催体制です。会計事務所の KPMG が冠スポンサーを務め、大会名に社名が入っています。
もともとはLPGA単独の「LPGA Championship」という大会でしたが、2014年にPGA of Americaがパートナーに加わり、2015年から現在の体制・名称になりました。男子の全米プロと同じPGA of Americaが関わることで、両大会は「姉妹大会」として位置づけられています。
フォーマットは4日間72ホールのストロークプレー (合計打数で競う方式)。毎年異なるコースを巡って6月に開催されます。
大会の起源は 1955年に創設された「LPGA Championship」です。LPGA (米国女子ツアー) が1950年に設立されてから5年後にスタートした、女子メジャーの中でも歴史の古い大会です。
日本人にとって決定的に重要なのが、1977年に樋口久子がこのLPGA Championshipを制したことです (詳しくは「注目選手」の項で後述)。これは日本人として初のメジャー制覇でした。
通算優勝回数の最多は ミッキー・ライトの4勝 (1958・1960・1961・1963) で、唯一の4回優勝者です。3勝を挙げた選手は6人おり、そのうちスウェーデンのアニカ・ソレンスタム (2003〜2005) と韓国のパク・インビ (2013〜2015) は、いずれも3年連続優勝という偉業を達成しました。
転機は2014〜2015年です。PGA of Americaが共催に加わり、KPMGが冠スポンサーに付いたことで、大会名が「Women's PGA Championship」へと改称され、賞金総額も大きく引き上げられました。これ以降、女子メジャーの中でも賞金規模・注目度がトップクラスの大会へと成長しています。
近年の優勝者は次の通りです。
| 年 | 優勝者 | 開催コース |
|---|---|---|
| 2026 | ユ・ヘラン (韓) | ハゼルティン・ナショナル (ミネソタ州) |
| 2025 | ミンジー・リー (豪) | フィールズランチ・イースト (PGAフリスコ) |
| 2024 | エイミー・ヤン (韓) | サハリーCC |
| 2023 | イン・ルオニン (中) | バルタスロールGC (ロワー) |
| 2022 | チョン・インジ (韓) | コングレッショナルCC |
| 2021 | ネリー・コルダ (米) | アトランタ・アスレチック・クラブ |
| 2020 | キム・セヨン (韓) | アロニミンクGC |
| 2019 | ハンナ・グリーン (豪) | ハゼルティン・ナショナル |
KPMG全米女子プロは、マスターズのようにコースが固定されておらず、毎年異なる名門コースを巡って開催されます。男子メジャーの会場としても知られる難コースが選ばれる傾向があり、女子メジャーの中でもタフなセッティングで知られます。
近年と直近の会場は次の通りです。
| 年 | 開催コース | 所在地 |
|---|---|---|
| 2023 | バルタスロールGC (ロワーコース) | ニュージャージー州 |
| 2024 | サハリーCC | ワシントン州 |
| 2025 | フィールズランチ・イースト (PGAフリスコ) | テキサス州 |
| 2026 | ハゼルティン・ナショナルGC | ミネソタ州 |
2025年会場のテキサス州フリスコ (PGAフリスコ) はPGA of Americaの新本部に隣接する施設で、協会が長期的な拠点と位置づける会場です。2026年のハゼルティン・ナショナルは、2019年大会 (ハンナ・グリーン優勝) の舞台でもあり、男子メジャーやライダーカップの開催実績もある名門です。
開催時期: 毎年 6月に開催されます。女子5大メジャーの中では、シェブロン選手権 (4月頃)・全米女子オープン (5〜6月) に続く第3戦にあたります。
日程: 木曜から日曜の4日間。72ホール (18ホール × 4ラウンド) のストロークプレーで、合計打数の最も少ない選手が優勝します。2日目 (36ホール) 終了後に予選カットが行われ、近年は上位65位タイまでが決勝ラウンドに進みます。
プレーオフ: 72ホールを終えて首位が並んだ場合はプレーオフで優勝を決めます。2025年大会では、18番・9番の 2ホールを使った合計打数 方式のプレーオフが採用されました (年により細部は変わるため、最新の大会要項で確認するのが確実です)。
出場人数: フィールドは最大 156名です。
出場は招待制と自動出場資格を組み合わせた複数のカテゴリーで決まります。世界の女子トッププロが集まる大会で、主な対象は次の通りです (年により細部は変動します)。
最後のクラブプロ枠は、男子の全米プロが「PGAクラブプロフェッショナル枠」を持つのとまったく同じ思想です。主催にPGA of America (ティーチングプロ・クラブ専属プロを中心とする職能団体) が入っているため、普段は現場で働くプロにもトッププロと同じ舞台に立つ道が用意されています。原則としてプロの大会で、招待制のためアマチュアが一般エントリーで出場できる仕組みではありません。
賞金: 賞金総額はKPMG冠化以降に大きく高騰しました。2025年大会の総額は1,200万ドルで、全米女子オープンと並んで女子ゴルフ史上最大級の規模です。優勝したミンジー・リーの優勝賞金は 180万ドルで、彼女はこれがメジャー3勝目となりました (NBC Sports)。
2025年大会でリーは2位のオースティン・キムとチャネッティー・ワンナサエンに3打差をつけて優勝し、2位の両選手はそれぞれ約94万4,867ドルを獲得しました。
このように賞金規模の拡大は、2015年にPGA of AmericaとKPMGが運営に加わって以降の継続的なトレンドです。実際、2026年大会では賞金総額がさらに増額され、過去最高の1,300万ドルに達しました。優勝したユ・ヘランの優勝賞金は 195万ドルです。最新の正確な金額は、その年の公式発表で確認するのが確実です。
トロフィー: 優勝者には大会の優勝トロフィーが贈られ、女子メジャーの中でも格式の高い栄誉とされています。
直近の優勝者を見ると、2021年ネリー・コルダ、2024年エイミー・ヤン、2025年ミンジー・リーと、世界ランク上位の実力者が名を連ねます。2023年には中国のイン・ルオニンがメジャー初優勝を飾るなど、各国のトップが激しく競う大会です。
2026年大会: 2026年はミネソタ州のハゼルティン・ナショナルで開催され、韓国のユ・ヘランが通算13アンダーでメジャー初優勝を果たしました。初日に首位と10打差をつけられながらの逆転優勝で、これは同大会史上最大の初日ビハインドからの優勝です。初日10打差以上を覆しての女子メジャー制覇は1964年以来62年ぶりの快挙でした。2位は単独でユン・イナ (韓)、3位タイにブルック・ヘンダーソン (加) とデヴィ・ウェーバー (蘭) が続きました。シーズンのメジャー2連勝 (シェブロン選手権・全米女子オープン) から暦年3連勝を狙ったネリー・コルダは8位タイに終わっています。
日本人選手の成績: 日本勢の最高位は、何といっても 1977年に樋口久子が記録した優勝です。これは女子に限らず日本人として初のメジャー制覇であり、アジア出身選手として男女を通じて初のメジャー優勝でもありました。樋口は2003年に日本人ゴルファーとして初めて世界ゴルフ殿堂入りを果たしています。樋口以降、この大会で優勝した日本人女子はまだ出ていません。
近年も日本勢は上位に食い込んでいます。笹生優花は2023年に1打差の2位、山下美夢有は2024年に2位と、いずれも優勝にあと一歩まで迫りました。2025年は岩井千怜が日本勢最上位の4位タイ、山下美夢有が6位タイと健闘しています。2026年は山下美夢有が12位タイで日本勢最上位、畑岡奈紗が15位タイ、古江彩佳と岩井明愛が19位タイで続きました。畑岡奈紗をはじめ、日本勢の初優勝が期待される大会です。
日本での放送・配信は年によって変わるため、最新の各社案内を確認するのが確実です。近年は WOWOW や ゴルフネットワークなどの衛星・専門チャンネル、U-NEXT などの配信サービスで中継・配信されてきました。
6月開催で日本との時差があるため、ライブ中継は深夜〜早朝の時間帯になることが多い大会です。視聴前に、その年の放送権者 (テレビ局・配信プラットフォーム) を公式サイトや番組表で確認するのがおすすめです。
料金・配信内容は変更されることがあります。最新の条件は各公式サイトでご確認ください。
KPMG全米女子プロを共催する PGA of America は、男子の全米プロ (PGA Championship) も主催しています。両大会は同じ協会が関わる「姉妹大会」であり、クラブプロ枠を設ける思想なども共通しています。
また本大会は女子5大メジャーの一つであり、シーズンを通じて以下の大会とセットで語られます。
女子ツアー全体の仕組みについてはLPGA Tourの解説も参照してください。
はい、同じ大会です。1955年に「LPGA Championship」として創設され、2014年にPGA of Americaがパートナーに加わり、2015年から会計事務所KPMGを冠スポンサーに迎えて「KPMG Women's PGA Championship」へと改称されました。冠スポンサーと運営体制が変わっただけで、歴史は地続きの同一大会です。
はい。樋口久子は1977年に当時の名称「LPGA Championship」を制しました。これは日本人として初のメジャー制覇であり、アジア出身選手として男女を通じて初のメジャー優勝でもありました。樋口は2003年に日本人で初めて世界ゴルフ殿堂入りも果たしています。
2014〜2015年からLPGAとPGA of Americaが共催する体制になったためです。PGA of Americaは男子の全米プロ (PGA Championship) を主催する組織で、女子大会にも運営力とスポンサー (KPMG) を持ち込むことで賞金・露出を大きく強化しました。男子の全米プロと同じ協会が関わるため、両大会は「姉妹大会」と位置づけられています。
原則としてプロの大会です。招待制と自動出場資格を組み合わせて出場者が決まり、世界の女子トッププロが中心です。一般のアマチュアがオープンな予選からエントリーして出場できる仕組みではありません。
2025年大会の賞金総額は1,200万ドルで、全米女子オープンと並び女子ゴルフ史上最大級の規模でした。優勝したミンジー・リーの優勝賞金は180万ドルです。賞金額はKPMG冠化以降に増加傾向が続いているため、最新の金額は公式発表で確認してください。
主催団体が異なります。KPMG全米女子プロはLPGAとPGA of Americaの共催、全米女子オープンはUSGA (全米ゴルフ協会) の主催です。全米女子オープンはアマチュアにも門戸を開きオープンな予選を行うのに対し、KPMG全米女子プロは招待制で原則プロの大会、という違いもあります。開催時期はいずれも5〜6月で近接しています。
1977年に樋口久子が優勝したのが最高成績で、日本人初のメジャー制覇でもあります。近年では笹生優花が2023年に2位、山下美夢有が2024年に2位と優勝に迫り、2025年は岩井千怜が4位タイに入っています。
最終更新: 2026-06-30