ライダーカップは、アメリカ代表とヨーロッパ代表が2年に1度激突する、男子プロゴルフ最大の国際対抗戦です。1927年に創設された歴史ある大会で、賞金を懸けた個人戦とは違い、選手は報酬ではなく国・大陸の名誉のためにプレーするチーム戦。3日間でフォアサム・フォアボール・シングルスという3つのマッチプレー形式を戦い、計28ポイントを奪い合います。世界中で最も観客動員と視聴者数の多いゴルフイベントの一つで、優勝の行方は最終日まで分かりません。なお日本選手は米欧の枠組みのため出場できませんが、その独特なフォーマットを理解すれば観戦が何倍も面白くなります。この記事では成り立ちからフォーマット、選出方法、歴代結果、日本での楽しみ方までをまとめて解説します。
| 順位 | 選手 | ポイント |
|---|---|---|
| 1 | Scottie Scheffler | 37180.33 |
| 2 | J.J. Spaun | 14851.91 |
| 3 | Xander Schauffele | 13733.52 |
| 4 | Russell Henley | 12276.82 |
| 5 | Harris English | 10880.55 |
| 6 | Bryson DeChambeau | 10774.98 |
| 7 | Justin Thomas | 10467.26 |
| 8 | Collin Morikawa | 10049.44 |
| 9 | Ben Griffin | 9745.76 |
| 14 | Cameron Young | 7209.64 |
ライダーカップは、アメリカ代表チームとヨーロッパ代表チームが2年に1度、各12名で激突する男子プロゴルフの国際対抗戦です。個人がスコアを競う通常のトーナメントとは異なり、国や大陸を背負ったチーム対抗のマッチプレー(ホールごとの勝敗を競う方式)で争われます(Ryder Cup公式)。
運営はアメリカ側をPGA of America、ヨーロッパ側をDP World Tour(旧ヨーロピアンツアー)とRyder Cup Europe が担い、開催地はアメリカとヨーロッパで交互に持ち回ります(PGA of America)。
名前の由来は、イギリスの種苗(しゅびょう)商人サミュエル・ライダー。彼が1927年に金製のトロフィーを寄贈して大会を創設したことから「ライダーカップ」と名付けられました。当初はアメリカ対イギリスの対戦でしたが、1979年からヨーロッパ大陸全体に拡大し、現在の米欧対抗の形になりました(Ryder Cup公式History)。
なお日本をはじめアジアの選手は出場できません。米欧の枠組みで争う大会だからで、アジア等の選手は別大会「プレジデンツカップ」に出場します(後述)。
ライダーカップは 1927年に第1回がアメリカ・ウースターで開催されました。当初はアメリカ対イギリス(後にアイルランドを加えて英国&アイルランド)の対戦で、長くアメリカが優勢でした。
転機は 1979年。ヨーロッパ大陸の選手も加えた「ヨーロッパチーム」に拡大したことで、対戦は一気に拮抗(きっこう)します。スペインのセベ・バレステロスやドイツのベルンハルト・ランガーらがヨーロッパ躍進の象徴となりました(Ryder Cup公式History)。
語り継がれる名勝負も数多くあります。1999年ブルックライン(米国)では、最終日シングルスを前にヨーロッパが10-6とリードしながら、アメリカが大逆転で14.5-13.5と制覇。逆に 2012年メディナ(米国)では、同じく10-6とビハインドのヨーロッパがシングルスで猛反撃し、「メディナの奇跡(Miracle at Medinah)」と呼ばれる大逆転勝利を収めました。
近年は 2023年ローマ(イタリア・マルコシモーネ)でヨーロッパが勝利。そして 2025年ベスページ・ブラック(米国ニューヨーク)では、ヨーロッパが 15-13 でアメリカを破り、2012年メディナ以来となる敵地アウェーでの勝利を達成しました(Ryder Cup公式)。これにより現在のカップ保持者はヨーロッパです。米欧の通算成績は後半の「注目選手・歴代結果」で紹介します。
ライダーカップは2年に1度、アメリカとヨーロッパで交互に開催されます。固定会場はなく、毎回それぞれの地域を代表する名コースが舞台に選ばれます。
近年の主な開催地は以下の通りです。
| 年 | 開催コース | 国 |
|---|---|---|
| 2014 | グレンイーグルズ | スコットランド |
| 2016 | ヘーゼルタイン・ナショナル | アメリカ(ミネソタ) |
| 2018 | ル・ゴルフ・ナショナル | フランス |
| 2021 | ウィスリング・ストレイツ | アメリカ(ウィスコンシン) |
| 2023 | マルコシモーネ | イタリア(ローマ) |
| 2025 | ベスページ・ブラック | アメリカ(ニューヨーク) |
今後の開催も決まっており、2027年はアイルランドのアデア・マナー(Adare Manor)で9月17〜19日に開催予定。アイルランドでの開催は2006年のKクラブ以来2度目です。2029年はアメリカのヘーゼルタイン・ナショナルが予定され、同コースは2016年に続く2度目のアメリカ開催コースとなります(Ryder Cup公式Future Venues)。
ライダーカップは 2年に1度、原則として奇数年の9月末〜10月初旬に開催されます。本戦は金・土・日の 3日間です。
3日間で行われるのは次の3つのセッションで、合計 28ポイントを奪い合います。
| 日程 | セッション | 試合数・ポイント |
|---|---|---|
| 金曜 | フォアサム + フォアボール | 各4試合(計8ポイント) |
| 土曜 | フォアサム + フォアボール | 各4試合(計8ポイント) |
| 日曜 | シングルス | 12試合(計12ポイント) |
各試合は勝てば1ポイント、引き分け(ハーフ)なら両チームに0.5ポイントずつ。先に14.5ポイントに到達したチームが優勝します。
ここで重要なのが、14-14の同点で終わった場合は、前回王者(=カップ保持者)がカップを保持するというルールです。つまり挑戦側は14.5ポイントを取り切らないと奪還できません(NBC Sports(フォーマット解説))。
ライダーカップ最大の見どころであり、初めて観る人にとって最大のハードルが、3種類のマッチプレー形式です。すべてストロークの合計ではなく、ホールごとの勝ち負けで競う「マッチプレー」である点が共通します。
| 形式 | 人数 | ボール | 仕組み |
|---|---|---|---|
| フォアサム(交互打ち) | 2人1組 | 1個 | ペアが 1つのボールを交互に打つ。ティーショットは偶数・奇数ホールで担当を分け、以降は1打ずつ交代。少ない打数のチームがそのホールを取る |
| フォアボール(ベターボール) | 2人1組 | 各自1個(計4個) | 各自が自分のボールでプレーし、ペアのうち良い方のスコアをそのホールの成績とする |
| シングルス | 1対1 | 各自1個 | 最終日の 1対1のマッチプレー。12人全員が出場し、勝った選手のチームに1ポイント |
ポイントは、フォアサムはミスが許されない緊張感、フォアボールは攻めの展開になりやすいこと。2人で1球を打つフォアサムはペアの相性が結果を大きく左右するため、キャプテンの組み合わせの妙も大きな見どころになります(Golf Monthly(形式解説))。
両チームとも代表は 12名で、選出ポイント上位による自動選出6名 + キャプテンの推薦(キャプテンズ・ピック)6名で構成されます。選出ポイントは約2年(前回大会後から今大会直前まで)にわたって蓄積され、メジャーや上位大会ほど高いポイントが与えられます。
ポイント配分の一例として、2025年サイクルではメジャー1大会あたり5,000ポイント、PGA TOURのシグネチャー大会・プレーオフやTHE PLAYERSが3,000ポイントなど、大舞台での好成績ほど代表入りに直結する設計になっています(PGA TOUR(選出の仕組み))。
なお、選出ポイントは公式が大会ごとに見直すため、最新サイクルの正確な配分・順位は公式ランキングで確認するのが確実です。下のランキングで現サイクルの順位を確認できます。
| 順位 | 選手 | ポイント |
|---|---|---|
| 1 | Scottie Scheffler | 37180.33 |
| 2 | J.J. Spaun | 14851.91 |
| 3 | Xander Schauffele | 13733.52 |
| 4 | Russell Henley | 12276.82 |
| 5 | Harris English | 10880.55 |
| 6 | Bryson DeChambeau | 10774.98 |
| 7 | Justin Thomas | 10467.26 |
| 8 | Collin Morikawa | 10049.44 |
| 9 | Ben Griffin | 9745.76 |
| 14 | Cameron Young | 7209.64 |
ライダーカップは「選手が個人の賞金を稼ぐ大会ではない」のが大原則です。優勝チームに分配される賞金は存在せず、選手は報酬ではなく名誉のためにプレーします。これがライダーカップの精神性を象徴する部分です。
ただし「一切お金が動かない」というわけではない点には注意が必要です。アメリカ側では従来から各選手に一定額が割り当てられチャリティに寄付される仕組みがありました。さらに 2025年大会からはアメリカ選手に1人あたり50万ドルが配分され、内訳は30万ドルがチャリティ、20万ドルが個人への支給(スタイペンド)となりました。アメリカ選手が個人報酬を受け取るのはこれが初めてで、議論も呼びました。一方のヨーロッパ選手は無報酬を貫いており、純粋に大陸の誇りのために戦います(Yahoo Sports(米欧の報酬の違い))。
優勝チームに贈られるのが、創設者サミュエル・ライダーの名を冠した黄金のライダーカップ・トロフィーです。頂にはライダーが懇意にしていたプロ、エイブ・ミッチェルをモデルにしたゴルファー像が立ち、優勝チームは次回大会までの 2年間このカップを保持します。
近年(過去6大会)の結果は以下の通りです。
| 年 | 開催地 | 勝者 | スコア |
|---|---|---|---|
| 2025 | ベスページ・ブラック(米) | ヨーロッパ | 15-13 |
| 2023 | マルコシモーネ(伊) | ヨーロッパ | 16.5-11.5 |
| 2021 | ウィスリング・ストレイツ(米) | アメリカ | 19-9 |
| 2018 | ル・ゴルフ・ナショナル(仏) | ヨーロッパ | 17.5-10.5 |
| 2016 | ヘーゼルタイン(米) | アメリカ | 17-11 |
| 2014 | グレンイーグルズ(英) | ヨーロッパ | 16.5-11.5 |
通算ではアメリカが 27勝16敗2分けとリードしていますが、1979年の欧州拡大以降はヨーロッパが優位に立っています(PGA TOUR)。
2025年大会では、ヨーロッパのキャプテンを ルーク・ドナルド、アメリカのキャプテンをキーガン・ブラッドリーが務めました。ヨーロッパはローリー・マキロイを中心に初日から圧倒し、最終日シングルスでのアメリカの猛追をシェーン・ローリーの劇的なハーフ獲得で振り切りました(Sky Sports)。歴代ではトニー・ジャクリンやポール・アジンガー、パドレイグ・ハリントンらが名キャプテンとして語り継がれています。
日本では、ライダーカップの放送・配信権は大会ごとに変わります。2021年・2023年大会は WOWOW が生中継・配信を担いましたが、直近の2025年大会(米ベスページブラック)は U-NEXT が国内のライブ配信を独占し、WOWOWやゴルフネットワークでの中継はありませんでした。年によっては大会公式サイト・公式アプリでもライブ配信が提供されるため、視聴前に各社の最新情報を確認するのが確実です。
注意したいのは時差です。アメリカ開催の年は日本時間で深夜〜早朝にかけての中継となり、ヨーロッパ開催の年は夕方〜深夜に観やすい時間帯になります。3日間にわたる長丁場のため、シングルスが行われる最終日(日曜)の決着シーンを中心に追うのもおすすめです。
ライダーカップはアメリカ対ヨーロッパの枠組みで争う大会のため、日本選手は出場できません。これは実力の問題ではなく、大会の成り立ち上の地域区分によるものです。
アジアやオセアニア、南米などの選手が国際対抗戦に出場したい場合は、アメリカ対インターナショナル(米欧以外の混成チーム)で争う「プレジデンツカップ」が舞台になります。松山英樹をはじめとする日本選手は、こちらのインターナショナルチームの一員として出場するチャンスがあります。
出場こそできないものの、ライダーカップは観戦コンテンツとして日本のゴルフファンにも人気が高く、独特のチーム戦・マッチプレーの緊張感は、個人戦のツアーとはまた違った楽しみ方ができます。
ライダーカップは、ゴルフの3大国際対抗戦(カップ戦)の一つに数えられます。
| 大会 | 対戦 | 性別 |
|---|---|---|
| ライダーカップ | アメリカ 対 ヨーロッパ | 男子 |
| プレジデンツカップ | アメリカ 対 インターナショナル(米欧以外) | 男子 |
| ソルハイムカップ | アメリカ 対 ヨーロッパ | 女子 |
プレジデンツカップはライダーカップに出られない地域の選手のため1994年に創設され、ライダーカップの無い偶数年に開催されます。ソルハイムカップは女子版にあたり、こちらも米欧で争われます。3大会ともライダーカップと同じマッチプレー形式のため、フォーマットを理解すれば同じ見方で楽しめます。代表選出のベースとなる各ツアーの仕組みはPGA TOUR・DP World Tourの解説も合わせてどうぞ。
2年に1度、原則として奇数年の9月末〜10月初旬に開催されます。アメリカとヨーロッパで開催地を交互に持ち回ります。
出られません。ライダーカップはアメリカ代表とヨーロッパ代表で争う大会のためです。日本やアジアの選手は、代わりに『プレジデンツカップ』のインターナショナルチームに出場するチャンスがあります。
優勝チームへの賞金分配はなく、選手は基本的に名誉のためにプレーします。ただしアメリカ側は各選手に一定額を割り当ててチャリティに寄付する仕組みがあり、2025年大会からは1人50万ドル(30万ドルがチャリティ、20万ドルが個人支給)が配分されました。ヨーロッパ選手は無報酬です。
どちらも2人1組のマッチプレーですが、フォアサムは『ペアで1つのボールを交互に打つ』形式、フォアボールは『各自が自分のボールでプレーし、良い方のスコアを採用する』形式です。詳しくは本文のフォーマット詳説をご覧ください。
両チームとも12名で、選出ポイント上位6名が自動選出、残り6名をキャプテンが推薦(キャプテンズ・ピック)します。ポイントは約2年かけて蓄積されます。
次回は2027年、アイルランドのアデア・マナーで9月17〜19日に開催予定です。その次の2029年はアメリカのヘーゼルタイン・ナショナルが予定されています(公式発表)。
通算成績はアメリカが27勝16敗2分けでリードしています。ただし1979年にヨーロッパ大陸へ拡大して以降は、ヨーロッパが19大会中13回制しており優勢です。
ヨーロッパです。2025年ベスページ・ブラック(米国)で15-13と勝利し、2012年メディナ以来の敵地での勝利でカップを獲得しました。
最終更新: 2026-06-08