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全米オープン (US Open) 完全ガイド

全米オープン (US Open) は、マスターズ・全英オープン・全米プロと並ぶ男子4大メジャーの一つです。米国ゴルフ協会 (USGA) が主催し、1895年から続く米国最古のメジャー。狭いフェアウェイ・深いラフ・速いグリーンによる「世界一過酷」とも評されるセットアップで知られ、その名のとおり予選を勝ち上がればアマチュアにも門戸が開かれた、真の「オープン (公開) 選手権」です。

ペブルビーチ18番(全米オープン開催コース)
全米オープンを開催する名門ペブルビーチ・ゴルフリンクスの18番。太平洋沿いの象徴的なホール Bernard Gagnon / Wikimedia Commons (CC BY-SA 3.0)

全米オープン (US Open) とは

全米オープンは、米国ゴルフ協会 (USGA: United States Golf Association) が主催する男子のナショナルオープン選手権です。マスターズ・全英オープン・全米プロ選手権と並ぶ「4大メジャー」の一つに数えられます (USGA公式)。

第1回は1895年で、4大メジャーの中では1860年創設の全英オープンに次いで2番目に古く、米国で最も歴史の長いメジャーです。マスターズが毎年オーガスタ・ナショナルで固定開催されるのと対照的に、全米オープンは毎年異なる名門コースを巡って開催されるのが大きな特徴です。

「オープン (Open)」の名のとおり、プロ・アマを問わず一定の条件を満たせば誰でも予選にエントリーでき、勝ち上がれば本戦に出場できます。世界中から1万人前後がエントリーする、文字どおり門戸の開かれた選手権です (USGA予選情報)。

歴史

Ben Hogan finishing a drive in 1950
全米オープン4勝を誇る伝説の名手ベン・ホーガン(1950年) Wikimedia Commons (Public Domain)

記念すべき第1回 (1895年) は、米ロードアイランド州のニューポート・カントリークラブで36ホール・ストロークプレーとして行われ、21歳のイングランド人ホレス・ローリンズが優勝しました (USGA公式)。

通算優勝回数の最多記録は4勝で、ウィリー・アンダーソン、ボビー・ジョーンズ、ベン・ホーガン、ジャック・ニクラスの4人が並んでいます (List of U.S. Open champions, Wikipedia)。

選手 優勝回数 主な優勝年
ウィリー・アンダーソン 4 1901, 1903, 1904, 1905
ボビー・ジョーンズ 4 1923, 1926, 1929, 1930
ベン・ホーガン 4 1948, 1950, 1951, 1953
ジャック・ニクラス 4 1962, 1967, 1972, 1980
タイガー・ウッズ 3 2000, 2002, 2008

タイガー・ウッズは通算3勝。とりわけ2000年のペブルビーチでは2位に15打差をつける圧勝で、メジャー最大優勝マージン記録を打ち立てました。近年は2024年にブライソン・デシャンボー、2025年にはオークモントでJ.J.スポーンが優勝しています (ESPN: U.S. Open winners by year)。2026年はニューヨーク州のシネコックヒルズで第126回大会が行われ、ウィンダム・クラークが全ラウンドで首位を守るワイヤートゥワイヤーの完全優勝で、2023年以来となる通算2勝目を飾りました。全ラウンドで単独首位を守り抜くワイヤートゥワイヤー制覇は、2014年のマーティン・カイマー (パインハーストNo.2) 以来12年ぶりで、全米オープン史上9人目の偉業です (USGA公式, Golf Monthly)。

開催コース

全米オープンは毎年異なる名門コースで開催されます。ペブルビーチ、パインハーストNo.2、オークモント、シネコックヒルズ、ウィングドフット、メリオン、トーリーパインズなどが歴代の主要会場です (USGA公式)。

2025年はペンシルベニア州のオークモント・カントリークラブで開催され、同コースは全米オープン会場として史上最多の10回目のホストとなりました (CBS Sports)。2026年はニューヨーク州のシネコックヒルズ・ゴルフクラブ (パー70) で第126回大会が開催され、ウィンダム・クラークが通算2勝目を挙げました。2027年はカリフォルニア州のペブルビーチ・ゴルフリンクスで開催される予定です (USGA公式)。

コースセットアップは「世界一過酷」とも評され、狭いフェアウェイ、首までも届くと言われる深いラフ、硬く速いグリーンが特徴です。パーは多くの会場で70に設定され、トータルでイーブンパー前後が優勝スコアになることも珍しくありません。総合的なショット精度と忍耐力が問われる、ゴルファーにとって最もタフな1週間とされています。

開催時期・フォーマット

全米オープンは毎年6月に開催され、最終ラウンドが6月第3日曜日に行われるのが慣例です。米国では6月第3日曜が「父の日 (Father's Day)」にあたるため、優勝シーンは父の日の風物詩として親しまれています。

競技は木曜から日曜までの4日間・72ホール・ストロークプレーで行われ、2日目 (金曜) 終了後に予選カット (上位60位タイまでが基本) が行われます。

優勝者が同スコアで並んだ場合のプレーオフは、2018年から「2ホールの合計打数 +なお決着しなければサドンデス」方式に変更されました。それ以前は、翌月曜日に18ホールの延長戦を行う伝統的な方式でした (USGA公式)。

出場資格・予選システム

全米オープンの最大の魅力は、プロ・アマを問わず予選から本戦を目指せる「オープン」の構造にあります。出場ルートは大きく分けて「予選通過」と「自動出場 (エグゼンプト)」の2つです (USGA予選情報)。

予選を勝ち上がる場合は、原則として次の2段階を通過します。

段階 名称 形式 概要
ローカル予選 (Local Qualifying) 18ホール 全米各地・海外で多数開催。エントリー者の上位ごく一部が次へ進む
地区予選 (Final/Sectional Qualifying) 36ホール (1日) 「ゴルフ最長の1日」と呼ばれる難関。ここを突破すると本戦出場

エントリーには、プロであるか、またはアマチュアの場合USGAハンディキャップ・インデックスが0.4以下であることが条件です (2024年に、従来の1.4以下から引き上げられました) (Golf Digest: 2026 qualifying)。ローカル予選から地区予選へ進めるのは、エントリー者全体のおよそ5.6%とされる狭き門です。

一方、前年優勝者や直近メジャーの優勝者、世界ランキング (OWGR) 上位60位、FedExCupポイント上位など、25のカテゴリーに該当する選手は予選を免除されて本戦に直接出場できます (USGA Media Center)。

賞金とトロフィー

全米オープンの賞金規模は4大メジャーでも最大級です。2025年は総額2,150万ドルで、優勝したJ.J.スポーンが440万ドル (公表値430万ドル)、2位のロバート・マッキンタイアが約232万ドルを獲得しました (CBS Sports, Golf Digest)。2026年シネコックヒルズ大会の賞金総額は前年比100万ドル増の2,250万ドルに引き上げられ、全米オープン史上最高額を更新しました。優勝したウィンダム・クラークには優勝賞金450万ドルとジャック・ニクラス・メダルが、2位のサム・バーンズには243万ドル、単独3位のトム・キムには約153万ドルが贈られています (USGA公式, Golf Channel)。

優勝者には「U.S. Open Trophy」が贈られ、あわせてゴールドメダルの「ジャック・ニクラス・メダル」が授与されます。さらに、向こう10年間の全米オープン出場資格と、5年間の4大メジャー出場資格という大きな特典が付与されます (Sportico)。

注目選手・歴代優勝者

Bryson DeChambeau swinging a driver
2020・2024年の全米オープン覇者ブライソン・デシャンボー Jacob Gralton / Wikimedia Commons (CC BY-SA 2.0)

近年の優勝者は以下のとおりです (USGA公式, ESPN)。

優勝者 会場
2026 ウィンダム・クラーク シネコックヒルズ
2025 J.J.スポーン オークモント
2024 ブライソン・デシャンボー パインハーストNo.2
2023 ウィンダム・クラーク ロサンゼルスCC
2022 マシュー・フィッツパトリック ザ・カントリークラブ
2021 ジョン・ラーム トーリーパインズ
2020 ブライソン・デシャンボー ウィングドフット
2019 ゲーリー・ウッドランド ペブルビーチ
2018 ブルックス・ケプカ シネコックヒルズ
2017 ブルックス・ケプカ エリンヒルズ
2016 ダスティン・ジョンソン オークモント

2026年のシネコックヒルズでは、ウィンダム・クラークが最終ラウンドを3オーバー73で回り、通算4アンダー276でサム・バーンズ (通算3アンダー) に1打差をつけて優勝しました。クラークは初日から首位を譲らないワイヤートゥワイヤーで、2023年以来となる2度目の全米オープン制覇。最終組では同伴のスコッティ・シェフラー (30歳の誕生日・父の日にキャリアグランドスラム挑戦) を退け、24人目の全米オープン複数回優勝者となりました。3位には予選を勝ち上がったトム・キム (通算1アンダー) が入っています (USGA公式)。

日本人男子の全米オープン最高成績は、1980年のバルタスロールで青木功が記録した2位です。最終日まで帝王ジャック・ニクラスと同組で死闘を演じ、2打差に泣いたこの試合は「バルタスロールの死闘」として語り継がれています。これは2021年に松山英樹がマスターズを制するまで、41年間にわたり日本人男子のメジャー最高成績でした (ゴルフネットワーク)。

日本での視聴方法

日本では、CS放送の「ゴルフネットワーク」が全米オープンの生中継・配信を行っています (ゴルフネットワーク2026全米オープン)。

大会の国際映像は米NBCが制作しており、海外で広く配信されています。また、USGA公式サイト (usopen.com) や公式アプリでもリーダーボードやハイライトを確認できます。放映権は年や大会によって変わる場合があるため、最新の放送・配信予定は各サービスの公式情報で確認することをおすすめします。

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料金・配信内容は変更されることがあります。最新の条件は各公式サイトでご確認ください。

関連ツアー・大会

全米オープンを主催するUSGAは、男子の全米オープンのほかにも数多くのナショナル選手権を運営しています。代表的なものに、女子のナショナルオープンである全米女子オープン、アマチュア最高峰の全米アマチュア選手権、若手の登竜門である全米ジュニアアマチュア選手権などがあります。

全米オープンと名前が似ている「全米プロ選手権 (PGA Championship)」は、運営団体 (全米プロゴルフ協会) も大会の性格も異なる別のメジャーです。混同しないよう注意しましょう。

よくある質問

全米オープンはどこで開催される?

毎年異なる名門コースで開催され、会場はUSGAが選定します。ペブルビーチ、パインハーストNo.2、オークモント、シネコックヒルズなどが代表的な会場です。2025年はオークモント、2026年はシネコックヒルズ (ウィンダム・クラーク優勝)、2027年はペブルビーチで開催されます。

アマチュアでも本当に出られる?

出られます。ローカル予選 (18ホール) と地区予選 (36ホール) の2段階を勝ち上がれば、アマチュアでも本戦に出場できます。これが「オープン」と呼ばれる理由です。

ハンディキャップは必要?

アマチュアがエントリーするには、USGAハンディキャップ・インデックスが0.4以下であることが条件です (2024年に従来の1.4以下から引き上げられました)。プロには上限はありません。

賞金はいくら?

2025年の総額は2,150万ドルで、優勝賞金は約430万ドルでした。賞金規模は4大メジャーでも最大級です。

全米オープンと全米女子オープンの関係は?

どちらもUSGAが主催しますが、男子と女子で別々に開催される独立した大会です。

プレーオフはどうなる?

2018年から、2ホールの合計打数で競い、なお決着しなければサドンデスとなる方式です。それ以前は翌月曜の18ホール延長戦でした。

日本人の最高成績は?

1980年バルタスロールでの青木功の2位が、日本人男子の全米オープン最高成績です。ジャック・ニクラスとの「バルタスロールの死闘」として知られています。

「全米オープン」と「全米プロ選手権」は違うの?

違います。全米オープンはUSGA主催、全米プロ選手権 (PGA Championship) は全米プロゴルフ協会の主催で、運営団体も大会の性格も異なる別々のメジャーです。

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出典・公式リンク

最終更新: 2026-06-23