国内男子ツアーが縮んだ、という話は繰り返し語られてきた。ただ、いつ・どれだけ・何が減ったのかを数字で押さえた説明は意外と見当たらない。 試合数はバブル期の44試合から25試合へ、賞金総額はピークの41.9億円から32.6億円へ減った。一方で1試合あたりの賞金は同じ期間に1.8倍になっている。縮小は一様ではなく、減った指標と増えた指標が同居している。 この記事では、公式の年次記録を3つの局面に分け、それぞれで何が減ったのかを特定する。そのうえで要因を出典つきで検証し、最後に2026年から動き始めた再編の中身までを扱う。断定するのは出典のある数字だけで、解釈にあたる部分はそう明記する。
まず、語る前に事実を固定する。ここで使うのは日本ゴルフツアー機構(JGTO)公式のツアースケジュールとランキングから起こした年次記録で、いずれも実際に開催された大会にもとづく実施ベースの数字である。
| 指標 | 最も多かった年 | 直近 | 変化 |
|---|---|---|---|
| 年間試合数 | 1983年の46試合(バブル期は1990年の44試合) | 2025年25試合 | 1990年比で56.8% |
| 年間賞金総額 | 1993年の41.9億円 | 2024年32.6億円 | 1993年比で77.9% |
| 1試合あたり賞金総額 | — | 2024年1億3,589万円 | 1990年の7,477万円から1.82倍 |
試合数と賞金総額はどちらも減っている。しかし減り方の深さが違う。試合数は4割以上減ったのに対し、賞金総額の減りは2割強にとどまる。差の分だけ1試合あたりの規模が大きくなった、というのがこの記事の出発点である。
注意点を2つ先に置く。ひとつは2019年で、この年は米国男子ツアーとの共催大会が加わったため賞金総額が43.6億円まで跳ね、単年では1993年を上回る。もうひとつは2025年の賞金総額で、1大会の賞金がウォン建てでのみ公表されており、為替換算をしない方針のため年間合計を確定できていない(試合数は25試合で確定)。
2020年と2021年の落ち込みは、新型コロナウイルスの影響で2シーズンが統合運営されたことによるもので、規模そのものが一時的に消えたわけではない。
定義: JGTO 公式サイトのツアースケジュールに「ツアー」区分で掲載された、その年に実際に開催されたレギュラーツアー大会の「賞金総額」の合計(実施ベース)。海外メジャー・ACN ツアーは含まない。共催競技も公式サイトが円建てで掲載しているものは合算している。単位は億円。
注: 1999年の JGTO(日本ゴルフツアー機構)発足以前の年も、JGTO 公式サイトが日本の男子レギュラーツアーの連続した記録として同じスケジュール・ランキングに収録しているため、同一系列として収録した(1999年より前の主催・運営は日本プロゴルフ協会ほか)。
注: 2020年と2021年は新型コロナウイルスの影響で「2020-2021年度」として2シーズンが統合して運営され、JGTO 公式サイトも1つのスケジュールとして掲載している。本系列では同ページ掲載の各大会の開催日(週番号と月日)から暦年を判定して2020年(6大会)と2021年(24大会)に分割した。
注: 2025年は Shinhan Donghae Open の賞金総額が JGTO 公式サイトでウォン建て(15億ウォン)でのみ掲載されており、為替換算をしない方針のため年間合計が確定できず未収録(円建て掲載分24大会の合計は31億6,976万円)。
注: 2026年はシーズン進行中で、日本オープンの賞金総額が「2025年実績」表記の暫定値であり、かつ一部大会が開催調整中のため未収録。
注: 2019年は PGA TOUR との共催大会 ZOZO CHAMPIONSHIP(10億4,832万円)を含むため前後の年より大きく増える。
年次の並びを見ると、縮小は一本調子ではなく、性格の違う3つの局面に分かれる。
| 局面 | 期間 | 試合数 | 賞金総額 | 1試合あたり |
|---|---|---|---|---|
| 第1期 バブル崩壊直後 | 1990年→1998年 | 44試合→36試合 | 32.9億円→40.7億円 | 7,477万円→1億1,306万円 |
| 第2期 機構発足から2000年代 | 1999年→2007年 | 32試合→24試合 | 33.6億円→30.4億円 | 1億500万円→1億2,667万円 |
| 第3期 リーマン後から現在 | 2008年→2025年 | 25試合→25試合 | 36.2億円→(2024年32.6億円) | 1億4,480万円→1億3,589万円 |
バブル崩壊の直後、試合数は8試合減った。ところが賞金総額はこの間むしろ増えている。1993年に41.9億円という最高値を記録したのもこの局面である。つまり1990年代の減少は、大会の数を整理しながら1大会の規模を上げる動きであり、市場の縮小とは形が違う。
1999年にJGTOが発足し、ここから2007年までにもう8試合減る。第1期と違うのは、賞金総額も同時に落ちていることだ。とくに2006年から2007年にかけては29試合から24試合へ5試合、賞金総額も35.0億円から30.4億円へ一気に減っている。試合数と賞金総額が揃って下がったのはこの局面だけで、ここが実質的な縮小の中心である。
ここが見落とされやすい。2008年以降の18年間、試合数は24〜27試合の帯から一度も外れていない(2シーズン統合運営となった2020年と2021年を除く平均は25.1試合)。賞金総額も32億〜36億円の帯で動いている。
縮小は現在進行形ではなく、2007年までに終わって以後は固定されている、と読むのが数字に忠実である。「男子ツアーが減り続けている」という語られ方は、この20年弱の横ばいを説明できていない。もっとも、横ばいは健全さの証明ではない。同じ期間に国内女子ツアーは規模を伸ばしており、その対照は次の章で扱う。
定義: 日本ゴルフツアー機構(JGTO)公式サイトのツアースケジュールに「ツアー」区分で掲載された、その年に実際に開催されたレギュラーツアー大会の数。海外メジャー(マスターズ・全米オープン等)、下部の ACN ツアー(旧チャレンジトーナメント)、QT、その他イベントは含まない。公式スケジュールは開催実績を掲載するため実施ベースの数字(中止大会は含まれない)。
注: 1999年の JGTO(日本ゴルフツアー機構)発足以前の年も、JGTO 公式サイトが日本の男子レギュラーツアーの連続した記録として同じスケジュール・ランキングに収録しているため、同一系列として収録した(1999年より前の主催・運営は日本プロゴルフ協会ほか)。
注: 2020年と2021年は新型コロナウイルスの影響で「2020-2021年度」として2シーズンが統合して運営され、JGTO 公式サイトも1つのスケジュールとして掲載している。本系列では同ページ掲載の各大会の開催日(週番号と月日)から暦年を判定して2020年(6大会)と2021年(24大会)に分割した。
注: 2017年・2018年の ISPS ハンダマッチプレー選手権は公式スケジュール上「1回戦・2回戦」と「3回戦〜決勝」の2行に分かれて掲載されているため、1大会として数えた。
注: 2022年の SMBC シンガポールオープンは公式サイト上「賞金ランキング加算対象外トーナメント」と注記されているが、ツアー区分の大会として試合数には含めた。
注: 2026年はシーズン進行中で、一部大会が開催調整中のため未収録。
縮小の中心が第2期(1999年〜2007年)だと分かると、要因の候補も絞られる。ここでは出典のある3つと、比較対象としての国内女子ツアーを順に見る。
ゴルフトーナメントの主催者は、大会を広告・広報の枠として買っている。だから協賛の増減は広告市場の構造に連動する。電通「2025年日本の広告費」によれば、2025年の総広告費8兆623億円のうちインターネット広告費が4兆459億円で、構成比は50.2%と初めて過半数を超えた。同じ年のマスコミ四媒体広告費は2兆2,980億円、うちテレビメディアは1兆7,556億円である。
上のグラフのとおり、インターネットの構成比が急に立ち上がるのは2005年前後からで、男子ツアーの第2期とちょうど重なる。「テレビ中継の枠としての大会」の相対価値が下がった時期に、大会数が最も減ったという対応関係がある。ただしこれは時期の一致であって、個々の大会の撤退理由がこれで説明できると証明したわけではない。
ビデオリサーチが公表する関東地区のゴルフ高視聴率番組(1977年9月以降)を見ると、男子ゴルフの上位11番組のうち10番組が1993年以前に集中している。最高は1987年全米オープンの18.6%、国内大会では1981年のゴルフ日本シリーズ最終日18.3%である。2000年以降で唯一残るのは2009年の日本オープン最終日(16.1%・NHK総合)である。
この表は歴代最高値のランキングなので、現在の平均的な視聴率を示すものではない。ただ、男子ゴルフが全国放送で15%を超える視聴を取れた時期が1990年代前半までに集中していることは読み取れる。参考までに、女子ゴルフの同じランキングには2005年の3番組と2019年の1番組が入っており、男子より新しい年の番組が残っている。
JGTO公式の賞金ランキングから、各年の1位の獲得賞金を並べる。
| 年 | 賞金ランキング1位 | 獲得賞金 | 国内競技数 |
|---|---|---|---|
| 1994年 | 尾崎将司 | 2億1,547万円 | 19 |
| 2009年 | 石川遼 | 1億8,352万円 | 22 |
| 2013年 | 松山英樹 | 2億108万円 | 13 |
| 2019年 | 今平周吾 | 1億6,805万円 | 25 |
| 2023年 | 中島啓太 | 1億8,499万円 | 23 |
| 2024年 | 金谷拓実 | 1億1,955万円 | 19 |
| 2025年 | 金子駆大 | 1億2,023万円 | 24 |
賞金王の額は1994年の2億1,547万円から2025年の1億2,023万円へ下がっている。ここにはトップ選手が海外を主戦場に移し、国内ランキングの上位から抜けていくという構造が効いている。詳しくは次々章で扱う。
同じ日本の市場で、同じくスポンサー協賛に支えられ、同じくコースを借りて開催されるのに、国内女子ツアーの結果は逆だった。
| 国内男子 | 国内女子 | |
|---|---|---|
| 1990年の試合数 | 44試合 | 39試合 |
| 2025年の試合数 | 25試合 | 36試合 |
| 1990年の賞金総額 | 32.9億円 | 17.5億円 |
| 直近の賞金総額 | 32.6億円(2024年) | 43.8億円(2025年) |
試合数は2001年に、賞金総額は2017年に女子が男子を上回った(賞金総額は共催大会を含む2019年だけ男子が上回る)。露出の面でも、日本女子プロゴルフ協会(JLPGA)は2025年から2029年までの5年間、ツアーの大半を単一の配信事業者が独占配信する契約を公表しており、視聴の入口を1か所に集約している。男子の縮小は「日本のゴルフ市場が縮んだから」だけでは説明できない。国内女子ツアーが伸びた理由は別の記事で扱うが、少なくとも市場全体の縮小を単独の原因にはできない。
定義: JLPGA 公式トーナメントデータの「JLPGAツアー」区分で、その年に実際に開催された大会の賞金総額の合計(実施ベース)。ステップ・アップ・ツアーとレジェンズツアーは含まない。「大会中止」「競技不成立」の大会は除く。単位は億円。
注: 2020年は新型コロナウイルスの影響で当初37大会の日程のうち23大会が中止となり、実際に開催されたのは14大会。賞金ランキングは2020年と2021年を統合した「2020-21年度」として集計された(試合数・賞金総額は公式スケジュールが暦年ごとに掲載しているため単年で収録している)。
注: 米ドル建ての共催競技・特別公認競技(マツダジャパンクラシック/TOTO ジャパンクラシック等)は、JLPGA 公式データが保持する円換算額をそのまま用いた(本作業で独自に為替換算はしていない)。そのため公式スケジュールページの表示(米ドル建て)とは表記が異なる。
注: 1967年は公式データに賞金総額が入っていない(0)ため未収録。
注: 2026年はシーズン進行中のため未収録(公式発表の年間日程は37大会・賞金総額48億9,550万円)。
縮小の議論でほとんど触れられないのが、1大会あたりの規模である。賞金総額を試合数で割ると次のようになる。
| 年 | 試合数 | 賞金総額 | 1試合あたり |
|---|---|---|---|
| 1990年 | 44試合 | 32.9億円 | 7,477万円 |
| 1998年 | 36試合 | 40.7億円 | 1億1,306万円 |
| 2007年 | 24試合 | 30.4億円 | 1億2,667万円 |
| 2018年 | 24試合 | 34.0億円 | 1億4,148万円 |
| 2024年 | 24試合 | 32.6億円 | 1億3,589万円 |
1990年と2024年を比べると、賞金総額は32.9億円と32.6億円でほとんど変わっていない。変わったのは中身の分け方で、試合数は44試合から24試合へ45%減り、1試合あたりは7,477万円から1億3,589万円へ82%増えた。総額はほぼ横ばいのまま、少ない大会に濃く配分される形に組み替わったというのが、この35年に起きたことの正確な記述である。
もっとも、1大会が大きくなることと、そこで戦う選手の年間収入が増えることは同じではない。上のグラフは賞金ランキング50位の獲得賞金だが、1993年の2,823万円がピークで、2025年は2,001万円である。1試合あたりの賞金が1.8倍になった一方で、50位の年間賞金は1993年比で7割の水準に下がっている。
理由は単純で、稼ぐ機会の数が減ったからだ。1試合の賞金が上がっても、出られる試合が44から25に減れば、上位に食い込めない選手ほど年間の取り分は薄くなる。年間で勝負する選手にとっては、1大会の大きさより年間の試合数のほうが効く。
ここからは解釈である。単価が上がり続けたということは、「ゴルフトーナメントを開く」というスポンサー商品の価格が下がったわけではないことを意味する。2026年の公式スケジュールに載る国内23大会のうち、賞金総額が1億円以上の大会は21ある(本記事による集計)。1億円規模の協賛が成立する大会は今も20以上あるということだ。一方で、それを買う企業の数が増えないから試合数が戻らない。つまり縮小の要因は「1社あたりの予算が減った」ことよりも「買い手の数が広がらない」ことにあり、価格を下げる方向より、買い手の裾野を広げる方向に打ち手があることになる。次章以降で見る海外流出と再編の話は、いずれもこの「買い手を増やせるか」という論点に接続している。
定義: JGTO 公式「賞金ランキング(海外メジャー含む)」各年度の50位の選手の獲得賞金額。レギュラーツアーのみ(下部の ACN ツアーの賞金は含まない)。単位は万円。JGTO はこのランキングで賞金王を決定している。
注: 1999年の JGTO(日本ゴルフツアー機構)発足以前の年も、JGTO 公式サイトが日本の男子レギュラーツアーの連続した記録として同じスケジュール・ランキングに収録しているため、同一系列として収録した(1999年より前の主催・運営は日本プロゴルフ協会ほか)。
注: 2020年・2021年は「2020-2021年度」として2シーズン統合の賞金ランキングのみが公表されており、単年の50位額が存在しないため両年とも未収録(統合シーズンの50位は久常涼の1,859万9,070円)。
注: 2026年はシーズン進行中のため未収録。
注: 海外メジャー(マスターズ・全米オープン・全英オープン・全米プロ)での獲得賞金が加算されるため、上位選手ほど国内のみのランキングとの差が出るが、50位前後では両ランキングの額はおおむね一致する。
松山英樹以降、国内男子ツアーには同じ形の出来事が繰り返し起きている。国内で賞金王になった選手が、その資格や実績を足がかりに海外ツアーへ移り、国内のランキングから抜ける。JGTO公式の賞金ランキングは各選手の国内競技数と海外競技数を併記しているため、この動きを数字で追える。
| 選手 | 国内で1位になった年 | その年の国内競技数 | 2025年の国内男子ツアーでの位置 |
|---|---|---|---|
| 松山英樹 | 2013年(2億108万円) | 13(海外5) | 賞金ランキング50位以内に名前なし |
| 中島啓太 | 2023年(1億8,499万円) | 23(海外1) | 賞金ランキング50位以内に名前なし |
| 金谷拓実 | 2024年(1億1,955万円) | 19(海外2) | 41位・2,683万円(国内4・海外3) |
2013年の松山英樹はすでに例外的で、国内13試合の出場で賞金王になっている。海外を主戦場にしながら国内タイトルを取れてしまう構図は、このときから始まっていた。
金谷拓実は米国男子ツアーの公式選手情報で2025年の入会と記載されており、同年の国内出場は4試合まで減った。中島啓太は2025年の欧州ツアー年間ランキングで7位に入り、この上位10名に与えられる2026年の米国男子ツアー出場資格を得ている(米国男子ツアー公式)。
ここからは解釈である。国内で最も強い選手が海外に移ると、国内ツアーは看板を失う。看板が弱くなると視聴と協賛が取りづらくなり、大会の数と賞金が伸びにくくなる。伸びなければ次のトップも国内に留まる理由を持たない。松山英樹の2013年から数えて10年以上、この一巡が繰り返されている点が、単発のスター流出との違いである。
同時に、これを一方的な損失と決めつけるのも正しくない。海外で戦う選手が増えること自体は日本のゴルフにとって前進であり、その活躍が国内の関心を押し上げる面もある。関東地区で2000年以降に唯一16%台を記録した男子ゴルフ中継は2009年の日本オープンで、これは18歳の石川遼が賞金王になった年でもある(因果を示す材料はないが、注目される選手の存在が視聴に効くことの傍証にはなる)。問題は流出そのものではなく、海外で得た注目を国内ツアーの収益に戻す経路が用意されてこなかったことにある。次章で見る2026年の再編は、まさにこの経路を作ろうとする試みとして読める。
2026年、国内男子ツアーの運営そのものを組み替える動きが始まった。ここは事実だけを並べる。
2026年3月26日、投資会社の日本産業推進機構(NSSK)は、JGTOの男子プロゴルフツアーに関する営利事業を新設会社へ譲り受ける事業譲渡契約を締結したと発表した。新会社の名称は株式会社ジャパン・プロゴルフツアー(J-TOUR)で、ツアー全体の企画・運営、スポンサーシップ管理、放映権・配信権管理、マーケティングを担う。NSSKは同社に段階的に成長資金を出資するとしている。
同日の記者発表では、JGTOは競技管理・選手管理・次世代育成に集中し、J-TOURが事業の収益化を担うという役割分担が説明された。倉本昌弘副会長は「現状維持にとどまっており、このままではいけない」と設立の背景を述べている。準備期間を経て2027年からの本格始動が予定されている。NSSKの津坂純代表取締役は取材に対し、今後5〜10年で150億〜200億円規模の投資を構想していると語っている(JBpress 2026年4月22日報道)。同じ発表の場で、みずほフィナンシャルグループがタイトルスポンサーに就任することも明らかにされた。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 年間王者の決め方 | 2026年から全ツアートーナメントにポイント制を導入 |
| 選手支援 | 食事・フィジカル管理のサポート、下部ツアーのプレーフィー負担 |
| 日程 | 2025年12月の発表時点で22試合が決定、3試合が開催調整中 |
| その後の日程 | 2026年8月時点の公式スケジュールに載る国内大会は23(海外メジャー4大会を除く・本記事による集計)。2025年の25大会から2減 |
| 新規大会 | ドラッグストア・コスモスカップ(10月・賞金総額1億5,000万円)が加わった。2025年のスケジュールには無かった大会である |
同じ2026年、フジサンケイクラシックについて、主催者から本年度の開催を見送る旨の通知があったとJGTOが6月8日に発表した。この大会はJGTO公式に残る1973年のスケジュールにも名前があり、2009年には石川遼が優勝している。JGTOは来年度の開催実現に向けて主催者と調整を続けるとしている。
1973年と2026年のスケジュールを突き合わせると、中日クラウンズ・関西オープン・日本プロゴルフ選手権・KBCオーガスタ・日本オープン・東海クラシック・太平洋マスターズは、冠スポンサー名の変更をはさみながら両方の年に名前がある。半世紀を超えて続く大会が複数残っている一方で、同じ古さを持つ大会が単年で止まる。この振れ幅の大きさが今の男子ツアーの足元を表している。
2025年と2026年のスケジュールを比べると、ハナ銀行インビテーショナル・ISPS HANDA夏の決戦・パナソニックオープン・フジサンケイクラシックの4大会が2026年の掲載から外れ、ドラッグストア・コスモスカップが加わっている(いずれも2026年8月時点。開催調整中の大会が後から加わる可能性がある)。
新設と中止が同じ年に並んでいるのが2026年の実像であり、再編の効果を評価できる段階にはまだない。J-TOURの本格始動は2027年で、放映権・配信権の扱いが変わるのもこれからである。
事実として言えることを、確度の高い順に並べる。
本記事が使った年次記録は、いずれも実際に開催された大会にもとづく実施ベースの数字であり、契約金額や協賛社の入れ替わりそのものを追ったものではない。個々の大会がなぜ終わったかは、主催者が理由を公表しない限り分からない。要因の章で示したのは時期の一致であって、因果の証明ではない。
また、2025年の賞金総額と2026年の年間実績は、それぞれウォン建て表記とシーズン進行中のため確定していない。2026年の数字が確定した段階で本記事も更新する。
国内女子ツアーがなぜ伸びたか、日米の賞金差が何を意味するかについては、それぞれ別の記事で扱う予定である。
減少は2つの局面に分かれます。1990年から1998年にかけて44試合から36試合へ減りましたが、この間の賞金総額はむしろ増えており、大会数を整理して1大会を大きくする動きでした。実質的な縮小は1999年から2007年で、32試合から24試合へ減ると同時に賞金総額も33.6億円から30.4億円へ下がっています。この時期は日本の総広告費に占めるインターネット広告費の構成比が立ち上がる時期と重なっており、テレビ中継の枠として大会を買う動機が弱まったことが背景にあると考えられます。ただし個々の大会の撤退理由は主催者が公表しない限り確認できず、時期の一致以上のことは言えません。
数字の上では止まっています。2008年から2025年までの18年間、年間試合数は24〜27試合の帯を一度も外れていません(2シーズンが統合運営された2020年と2021年を除く平均は25.1試合)。賞金総額も32億〜36億円の帯で推移しています。縮小は2007年までに終わり、その後は低い水準で固定されている、というのが実際の姿です。
試合数の減り方のほうが大きいためです。1990年と2024年を比べると、賞金総額は32.9億円と32.6億円でほぼ同じですが、試合数は44試合から24試合へ45%減っています。その結果、1試合あたりは7,477万円から1億3,589万円へ82%増えました。総額が縮んだというより、同じ規模の原資が少ない大会に濃く配分される形に組み替わった、と読むのが正確です。
年間で見ると逆です。JGTO公式の賞金ランキング50位の獲得賞金は、1993年の2,823万円がピークで、2025年は2,001万円です。1大会の規模が1.8倍になった同じ期間に、50位の年間賞金は7割の水準に下がっています。出場できる試合が44から25に減れば、上位に食い込めない選手ほど年間の取り分は薄くなるためです。
1990年は男子44試合・女子39試合、賞金総額は男子32.9億円・女子17.5億円で男子が上でした。2025年は男子25試合・女子36試合、賞金総額は男子が2024年で32.6億円、女子が2025年で43.8億円です。試合数は2001年に、賞金総額は2017年に女子が男子を上回りました(賞金総額は米国ツアーとの共催大会を含む2019年だけ男子が上回っています)。同じ国内市場で結果が分かれている以上、男子の縮小をゴルフ人口の減少だけで説明することはできません。
国内の賞金ランキング上位から常連が抜ける形で表れています。2023年に賞金1位だった中島啓太は2025年の賞金ランキング50位以内に名前がなく、2024年に1位だった金谷拓実は2025年に41位・国内4試合出場です。金谷拓実は米国男子ツアー公式の選手情報で2025年入会と記載され、中島啓太は2025年の欧州ツアー年間ランキング7位で2026年の米国男子ツアー出場資格を得ています。看板選手が国内にいないと視聴と協賛が取りづらくなり、規模が伸びなければ次のトップも国内に留まる理由を持たない、という循環になっている点が単発の流出との違いです。
年ごとの平均視聴率は公表されていないため、下げ幅を数字で示すことはできません。分かるのは歴代の高視聴率番組の分布です。ビデオリサーチが公表する関東地区のゴルフ高視聴率番組ランキングでは、男子ゴルフの上位11番組のうち10番組が1993年以前で、2000年以降に残るのは2009年の日本オープン最終日(16.1%)だけです。女子ゴルフの同じランキングには2005年の3番組と2019年の1番組が入っています。男子が全国放送で15%を超える視聴を取れた時期が1990年代前半までに集中していることは読み取れますが、これは歴代最高値の分布であって現在の平均を示すものではありません。
2026年3月26日、投資会社の日本産業推進機構(NSSK)がJGTOの男子ツアーに関する営利事業を新設会社「株式会社ジャパン・プロゴルフツアー(J-TOUR)」へ譲り受ける契約を結んだと発表しました。J-TOURが企画・運営、スポンサーシップ、放映権・配信権、マーケティングを担い、JGTOは競技管理・選手管理・次世代育成に集中します。本格始動は2027年の予定です。2026年シーズンからは全ツアートーナメントへのポイント制導入、選手の食事・フィジカル管理サポート、下部ツアーのプレーフィー負担が始まりました。一方で1973年から続いたフジサンケイクラシックは2026年の開催が見送られており、新設と中止が同じ年に並んでいます。効果を評価できる段階ではありません。
最終更新: 2026-08-03